V.A. / THE PEOPLE’S MUSIC

 

V.A./中村とうようの「大衆音楽の真実」(3CD BOX)

【とうようズ・アチーヴメント 第二弾作品】
世界中のすばらしいポピュラー音楽の名演名唱を縦横無尽に。ワールド・ミュージック好きのバイブル3部作、ついに復刻!

●選曲:中村とうよう
●解説:中村とうよう 田中勝則
●リマスター再発

音楽評論家の中村とうようさんが亡くなったのは2011年。今年は13回忌に当たります。この3枚組アルバムは、そんな中村とうようさんが残した仕事を少しでも多くの皆さんに思い出してもらおうと企画されたシリーズの第二弾。ワールド・ミュージック・ファンに長年愛されてきた伝説の3部作を、3枚組にまとめて復刻しました。
ポピュラー音楽ファンで読んでいない人はいない名著『大衆音楽の真実』(ミュージック・マガジン)が発表されたのは1986年。その時には「副読本」ならぬ「副聴レコード」としてLP2枚組2セットのアルバムが登場しました。もちろん本の内容と同様、世界中のすばらしいポピュラー音楽の歴史的な名演名唱を縦横無尽に並べた究極の内容です。それを中村とうようは1990年にCD3枚に分けて復刻。この時にはさらに多くの楽曲を追加され、より奥深い内容に変貌しました。今回の3枚組はそのときのCD3枚(当時はばら売り)を復刻したものです。
すばらしいのはその選曲、そして曲順です。それぞれの分野の歴史的名曲がずらりと並んだ選曲は、世界中の音楽を幅広く研究してきた中村とうようならではでしょう。歴史的な名演はもちろん、それぞれのジャンルのエポックメイキングな作品がしっかり収録されています。そしてさらにすばらしいのは、そんな世界の多様な地域の音楽が飛び出す内容なのに、なぜかすんなりと続けて聞けてしまうところです。それぞれの音楽にある不思議なつながり、いわゆるポピュラー音楽の「赤い糸」を想像させてしまうところに、中村コンピレーションの魅力がありました。
いまどき、ネットで音源を探せば、世界のポピュラー音楽を幅広く収録したアルバムを作ること自体はそれほど難しくありません。しかし、これほど多様な音楽を取り上げながら、それぞれに繋がる「赤い糸」を探りつつ、しかもそこにはっきりとしたひとつの美学が貫かれた内容のアルバムを作れる人は、そうはいません。
そういう意味でこれは間違いなくワールド・ミュージックの「マスト・アイテム」。「家宝」として大事に聞き続けていただきたい3枚組です。
〜メーカーインフォより

そうなんですねえ、もう十三回忌になるんですねえ…。

改めて、今回一挙に復刻された3枚のCDを、まとめて、いっぺんに全部聴き通す機会があって(MM誌アルバム・レヴューにて)、久しぶりに聴いてみたら、昔と違うんですねえ、聴いた感じが。というのも、少なからず、20年近くも経て聴いてみて、こっちの耳が少しは肥えたんでしょうか?まず、それぞれにジャンル(地域)の異なる出自の、それぞれの一曲一曲が、なるほど、それぞれに究極の一曲一曲なんだよなあ、コレは…と、昔よりも納得度が深まったということはありました。昔よりも生々しく “大衆音楽の真実” を実感したというか。

そしてもう一つ、よくも、まあ、こんなにいろんな地域の一曲一曲のつなぎが、こんなに違和感なく並んでるなんて、やっぱりスゴイことだなあ…と、う〜ん、ソレはいつの時代にも、きっとあるんだろう時代のモードで繋がった同時代の音楽に通底する感覚を、しっかり把握してこその選曲の妙、みたいなものにも感じ入った次第。

で、もうひとつには(これはMM誌の評にも書いたことですが)、この大衆音楽の真実3枚のCDを聴いていて、やっぱり、世界を音楽で巡っているような、至福の時間を過ごすことができたということ。そして、久しぶりに聴き直して実感したことは、これはやっぱり、とうようさんとっても、ご自身、至福の時間を過ごされた曲ばかりなんだろうなあ、ということ。それは、とりも直さず、所蔵されていたという7万枚?のレコードの中からの、選りすぐりの70曲ということだったんじゃないか?と、そう思いました。

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