HARIS ALEXIOU / REWORKS

これが、最後の最後でしょうね…、たぶん。
1970年代前半から、ギリシャ歌謡最高の女性歌手として歌って来たハリス・アレクシウの最後の作は2014年作。引退宣言をしたのは2020年のことでした。もうCDは出ないだろうと思っていましたが、昨年末に本作がリリースされました。
過去の録音からハリスの歌声を抜き出して、新装バックにおいて”リワーク”した作とのこと。そう予告され、当然、杞憂はありましたが、こうして CD が届いてみれば、やっぱりイイなあ、と溜息の出るような、そんなアルバムになっています。
それに、ギリシャ語の歌の意味が聞き取れませんから、ああ、あの曲だと過去のオリジナル曲が頭に浮かんだ曲はひとつかふたつか、みっつかよっつ?新作として新鮮に聴くこともできたわけです。
加えて、もともと、ハリスはスクッと起立し、聴衆の頭上、中空に向かって歌を響かせるタイプでもありますから(その辺、アマリア・ロドリゲスと双璧かも知れません?)、エルミスやシッシー・ビーツといった若手が打ち込んだビートに足を取られることもないし、グリーク・ロック系のキッド・モクシーや、あるいはエレクトロ・ダンス系ユニットの O.P.A. らとの共演にも、難なく対応できる靭やかなヴォイスの持ち主であったことは、この”リワークス・アルバム”でも、改めて証明されていると思います。
ともあれ、全体として、空間的な広がりを感じさせるギリシャの弦とエレクトロな響きに、歌の情感をしっかり結ぶ仕上がり。全10曲、元曲に縛られずアイデアを凝らし、新作として十分に通用する作かと思います…と言うのも何だか哀しいものがありますが、2曲の新曲で聞かせる、おそらくは現在のハリスの歌声やラップにも、また、少し物哀しくはなっても、その物哀しさも含めて、個人的には十二分に楽しめた”リワークス”でした。
総合プロデュースはハリスの前夫との息子、Minos のプロデューサーであるマノス・セオフィルが務めています(と、以上、MM誌3月号輸入盤紹介欄に書かせてもらった文章を “リワーク”してみました。すみません…)。
それにしても、このお値段、ホント、申し訳ないです。

1 Ο Άνθρωπος Του Κάβου 2:52
2 Εσύ Με Ξέρεις Πιο Πολύ 4:08 Feat. Hrístos Mástoras
3 Άσπρο Φεγγάρι 3:07
4 Μια Πίστα Από Φώσφορο 3:07
5 Μία Είναι Η Ουσία 2:41
6 Ψυχές Και Σώματα 3:33
7 Πανσέληνος 3:31 Feat. Kid Moxie
8 Φύγε = Fyge 3:52 Feat. Lex
9 Μες Στα Δυο Της Μάτια 3:00 Feat. O.P.A.
10 Το Τανγκό Της Νεφέλης 2:49

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