SONA JOBARTEH / BADINYAA KUMOOO

1.Musolou 07:41
2.Dunoo (Feat. Musa Filly Jobarteh) 04:23
3.Kambengwo (Feat. Youssou N’Dour) 08:29
4.Ballaké (Feat. Ballaké Sissoko) 04:55
5.Fondinkeeya 05:43
6.Kafaroo (Feat. Ravid Kahalani) 07:02
7.Ubuntu 05:12
8.Gambia 05:10
9.Nna Kangwo (Feat. Jock Webb) 05:43
10.Nna Mooya (Feat. Kirk Whalum) 06:40
11.Meeya 05:30
12.Taariko (Feat. Zihirina Maiga) 06:02
13.N’na Duniyaa 04:50

*新品ですが、非シールド状態で入荷して来たためか、デジパック裏ジャケに些少コスレ跡があります。

以下、本2023年リリースCDに組み込まれた旧録曲(CDとしては初出)、ソナ・ジョバルテの “ガンビア”と、もう一曲 シソコ・ヤクーバの “マリンケ”を、NHK AM「地球ラジオ」にて、2016年9月に紹介させていただ際の台本原稿です(この日のために取っておきましたよ…!?)。

アレから7年、ソナ・ジョバルテの “ガンビア”、いつ CD が出るものか、ズ〜ッと待っていましたが、他の新録新曲群とともに、やっとリリースされました。そして、7年の歳月を経ても、曲として、アレンジとして、そして、何より、その歌声としての新鮮さが全く色褪せていないことに驚きます。
現在、様々なかたちで、POP アフリカは新たに沸騰していますが、それらは多くは音楽テクノロジーやリズム処理、ミクスチュアー作法としての新しさを聞かせてくれることに比べると、本作、ソナ・ジョバルテの万を持しての新作 CD(セカンド・アルバム〜ファーストは>こちら)、なんという正道、というか、王道アフリカン POP 曲でしょうか?ユッスーほか、様々なゲストも参加しています(ユッスー曲の素晴らしさにも、ちょっと驚きました)。それもこれも、コラを爪弾きながら歌う、自分の音楽作法というものが、まったくブレていないからでしょうね(高いですけど!)。

「ガンビアに響く、古い歌声と新しい歌声」

ガンビアは、大西洋に流れ込むガンビア川の流れに沿って、内陸に細長く続く西アフリカの国です。
ガンビア川の河口地帯は大西洋に面していますが、河口以外の国土はすべてセネガルに囲まれている国です。
川の両側に広がる国土の幅は、最大でも48キロ、その細長い国の長さは約400キロという、ちょっと珍しい国土のあり方ですね。

国土の総面積は日本の秋田県より少し小さく、人口は180万人。
首都はガンビア川の河口に位置するバンジュール、公用語は英語ですが、マリンケやフラニ、ウォロフと、そぞれぞれの民族の言葉が生活言語となっています。
主な産業は農業で、米や落花生の栽培などが盛んです。

近年では、英語が通じることもあって、様々な種類の貴重な生物を保護する自然公園を訪れたり、ガンビア川流域に餌を求める500種類もの鳥達をウォッチしようという旅行者が訪れ、観光業も盛んになっているそうです。

そんな自然豊かな川沿いの国、ガンビアの音楽をまず1曲聞いていただきましょう。

アーティスト SISSOKHO YAKHOUBA シソコ・ヤクーバ
曲目は、MALINKE マリンケ

このコーナーでも何回かご紹介した西アフリカの竪琴、コラの繊細な演奏がまず印象的ですよね。
コラは多くは21本の弦を1メートル以上の棒状のネックに張った弦楽器ですが、
ネックが固定されている共鳴胴の部分には、半分に切った大きな丸い瓢箪が使われています。
その瓢箪に山羊の皮などが張られていて、弦の音色を繊細に響かせます。
コラの演奏者は、低めの木箱などに座り、両膝で共鳴胴をはさむようにして、ネックに張られた弦を両の手の指で、ハープのようにして演奏します。

そのコラという楽器を爪弾きながら、通り良い声で歌っているシソコ・ヤクーバは、ガンビアに住まうマリンケ人のヴェテランのグリオです。
マリやギニア、そしてガンビアといった西アフリカ一帯に住まうマリンケ人は(マンディンゴとも呼ばれ)、13世紀から17世紀頃まで栄えたマリ帝国の人々の子孫だとされています。
そんなマリ帝国の時代から、グリオと呼ばれる世襲の音楽家が代々、父から子へ子から孫へと受け継がれて来ました。
グリオは文字のない文化を発展させた西アフリカ一帯の人々にとって、歴史を記憶し語り伝える人であり、あるいは、古くからの教訓や物事の由来を伝える語り部であり、歌い手です。
そんなグリオの家系に生まれたシソコ・ヤクーバの今聞いていただいた曲名は、そのものずばり「マリンケ」。
残念ながら、歌詞内容に関してはわからなかったのですが、おそらく、マリンケの人々の由来やアイデンティティを歌った曲だと思われます。
そんな風に思って聞いてみると、遠い昔から響いてくるような歌声だったんじゃないでしょうか?

それでは、もう1曲、
アーティストは Sona Jobarteh ソナ・ジョバルテ
曲名は GAMBIA ガンビア

そのものズバリ、今度は “ガンビア”という曲名でした。
この女性もコラを弾き、そして歌いますが、先ほどの曲とは、ずいぶん印象が違うんじゃないでしょうか?
このソナ・ジャバルテ、実は英国ロンドン生まれ、今年33歳(2016年当時)になります。

が、彼女の両親はやはりグリオの家系の人なので、ロンドンで生まれたマリンケのグリオ、ということになりますね。
ロンドン王立音楽大学で作曲などを学んだ才媛でもあるそうですが、彼女の祖父、父、そして母もガンビアで活躍したグリオであり、そしてまた彼女自身も幼い頃から学んだコラを弾き歌うことを選び、そして、今お聞きいただいた曲を発表し、ガンビアでも大きな評判を呼んでいます。

そのマリンケ語の歌の内容は、ガンビア川の自然の美しさや恵みを歌い、ガンビアを母なる国として讃え、そして誇りに思う、といった内容だそうです。
元来、女性のグリオの歌い手は多く存在するのですが、たいていの場合、コラの演奏は男性が弾くもので、自らコラを弾きながら歌う女性というのは、自分はあまり聞いたことがありません。
それに、映画音楽を作曲したり、ロックやジャズも歌ったりして来たというソナ・ジョバルテの歌は、やはり先程、聞いていただいた古くからのグリオの歌い方とは明らかに違いますね。
実に爽やかで、POPです。
もちろん、伝統的な歌もレパートリーとするソナ・ジョバルテですが、伝統的な曲を歌っても新鮮な感覚を聴かせてくれます。

というわけで、ガンビアに響く、古い歌声と新しい歌声、お楽しみいただけたでしょうか?

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