V.A. / A MOI LA LIBERTE, Early Electronic Raï ALGERIE 1983​ – 1990

北西部アルジェリアの港湾都市、オランの船乗り相手に発展した歓楽街を温床として生まれたライ・ミュージック黎明期の象徴は、前世紀半ばから葦笛ガスバと打楽器ベンディール伴奏で歌った女性歌手、故シェイハ・リミティということになると思います。
続く60〜70年代にかけては、ブラウィ・フーアリがギターやブズーキ弾き語りでライを歌うようになり、金管奏者メッサウド・ベルムーがトランペットやサックス、そしてアコーディオンを伴奏に持ち込むなど、モダン化が開始されました。が、当時のアルジェリアの若い世代は、いわば、酒場の演歌だったライを好まず、北米〜仏経由のツイストやロックンロールの方を好んだそうです。
そんな状況を変化させたのは、70年代から80年代にかけて活躍したプロデューサー、ラシッド・ババであり、自ら設立したスタジオ・ラリーにおいて、まずはライをエレキ化することで、ロックンロールならぬ“ラインロール”を生み出し、シャバ・ファデラやシェブ・ハレド等をプロデュース、アルジェリアの若い世代にアピールすることに成功します。
次いで、ライを酒場の音楽からディスコティックの音楽へと変貌させるべく、ラシッド・ババはシンセ&ドラム・マシーンを大胆に導入(ジャン=ミッシェル・ジャールの影響を受けたそうですが)、80年代も後半を過ぎると、ラシッド・ババの標榜したPOPライは、ワールド・ミュージック・ブームの勢いに乗って、世界へ飛び出すことにもなるわけですね。
というわけで、本編集盤は、アルジェリアン・ライの老舗レーベル、MLP & MCPEの音源を使用して、ラシッド・ババ以降の、最初期エレクトロニック・ライのコレクションとして編まれたCDということになります。これまで、MLP & MCPEよりCD化済みの曲も含みますが、実に面白い曲が揃ってます。とにかく、シンセ打ち込み使いがヴィヴィッドかつ大胆〜目から鱗のグルーヴィーなディスコ演歌満載ですよ!

1.Cheb Hindi – A moi la Liberté 06:59
2.Houari Benchenet – Malika 08:03
3.Chab Mohamed Sghir – Khalouni 06:59
4.Chaba Fadila – Ki Kount 06:00
5.Cheb Tahar – Djehida 06:28
6.Cheb Djalal – Mohal Nahma 05:16
7.Houari Benchenet – Ghir Hiya Salbeni 05:28
8.Cheb Kader – Reggae Raî 08:08
9.Chab Hamouda – Zahri Mate 06:19
10.Cheb Khaled Schir – Li Binek 06:16
11.Nordine Staïfi – Rouh Ya L’Mersoul 06:25
12.Chaba Amel – Lela Kusti 04:50
13.Chaba Malika Meddah – Sid Houari Ya Mlah 06:12
14.Tchier Abdelgani – Laâroussa 05:39

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