フィーリンを代表するアーティスト、エレーナ・ブルケ、オマーラ・ポルトゥオンド、モライマ・セカーダを擁したキューバの1950年代に活躍した女性ヴォーカル・グループ、ラス・デ・アイーダ。本4枚組CDセットは、1枚のCDにそのラス・デ・アイーダの音源を納め、他の3枚のCDにそれぞれの3人の歌手達のソロ音源を各1枚に納めた、セットものです。
ラス・デ・アイーダのCDは、有名なアルバム『AN EVENIBG AT THE SANS SOUCI』の全曲に、1983年に3人が再度集まり録音した「AMIGAS」と1989年にエレーナが、アイダついて歌った録音を追加。CD2はモライマ・セカーダ。彼女の音源を幅広くまとめて聞けるアルバムはあまりないだけにありがたい編集です。1965年から1978年までの音源は、ラファエル・ソマビージャ、アドルフォ・グスマンといったストリングスやフルバンドのフィーリンのバッキングを多くしてきた重鎮がバックを務めたもの。最後の2曲(1981年録音)は、オルケスタ・アラゴーンとの共演。CD3は、エレーナ・ブルケ。こちらも1950~60年代の音源を約半分、残りは1970年以降の音源と、バランスよく選曲されています。前半のフィーリン感覚あふれる歌唱&バックから、1970年あたりからのサイケ、バラーダなどの感覚を取り入れた録音、さらに1980~90年代の録音では原点回帰していく様子などが聞き取れ、エレーナのダイナミックな才能を感じていただける選曲ではないでしょうか。そしてCD4は、オマーラ・ポルトゥオンド。フリオ・グティエーレスとのソロ・デビュー・アルバムから、フィーリン~ポピュラー~ソネーラ(ソン歌い)としての、エレーナとはまた違った振り幅の広い芸歴が感じられる選曲です。最後は、2008年ロランド・ルナなどと録音したフィーリン感あふれる音源で締めくくられています。
1950年代以降、キューバの音楽界、エンターテインメント界に大きな花を咲かせ続けたディーヴァ達の全容を知るのに最適な4枚組です。