★里アンナ / ソングス・オブ・サイレンス
千年以上も昔から歌い継がれてきた奄美の島唄。
ご先祖からいただいたこの大切な宝物を、歌い継いでくれて本当にありがとう。(朝崎郁恵)
● 千年以上も歴史のある奄美大島の島唄を、里アンナがピアニスト中林万里子と収録した5曲入りミニ・アルバムです。
●「おぼくり~ええうみ」をはじめ、「長朝花」、「奄美の子守唄」は、ピアノ・バージョンでお届けします。
●「ヨイスラ」、「太陽ぬ落てぃまぐれ」は、アカペラで収録。宙に響くような深淵な唄声は、聴く人を奄美大島の大地へと誘います。
<以下、里アンナのコメント>
おそらく皆様の中には、奄美の島唄が好きな方、奄美の島唄に興味がある方、またこれから知りたいと思っている方、など様々な方がいらっしゃると思います。
一般的な島唄の持つイメージの一つとして、チヂン(太鼓)や三線の伴奏に合わせて歌い踊るような子気味良いものを想像される方も多いのではないでしょうか。
本作では、そういったイメージとは真逆の、静寂の中に荘厳に響き渡る島唄、というようなコンセプトで選曲、そして歌唱を行いました。
リズムの枠に捉われない中、また静かなピアノの伴奏の中で自由に唄えたことで、より島唄の奥深さ、そして機微のようなものに触れられたように思います。
さらに、失われつつある「シマユムタ」(奄美言葉)の大切さを再確認する事ができました。
島唄をよくご存知の方は既存のものとの違いを、初めてお聴きになる方は伝統的なものを聴くきっかけにと、皆様1人1人に奄美の島唄の新しい一面をお見せ出来たのなら、これに勝る喜びはありません。
長い歴史の中でいまだに未知の部分も多い奄美島唄の世界を、これからも色々と模索し続けて行こうと思います。
<プロフィール>
■ 里アンナ
3才より祖父に奄美の島唄を習い、その後島唄の大会で数々の賞を受賞。
2005年の「愛・地球博」で山本寛斎プロデュースのオープニング・イベント出演後にデビュー。
2013年、2015年ミュージカル「レ・ミゼラブル」にファンテーヌ役で出演。
2016年、フランスのコルシカ島で開催された歌のフェスティバルに出演。
スウェーデンのヨーテボリオペラで、ベルギーの振付家シディ・ラルビ・シェルカウイの作品「ICON」で島唄を歌唱。
同年ニューヨークで初島唄ソロライブ。島唄とドラムの異色デュオ「里アンナ×佐々木俊之」を結成し、ジャズ、R&B、ピップホップといった西洋ドラムのドラミングを取り入れジャンルを超えた新たな楽曲を創出。2017 年には、フランス、パリでデュオによる単独コンサートを成功させる。
2018年、フラメンコを代表するアーティスト、エバ・ジェルバブエナと共演。舞台「Cuentos de Azúcar~ 砂糖のものがたり~ 」は、スペイン、フランスなど、海外公演で高い評価を得た。
2018年、大河ドラマ「西郷どん」メインテーマに歌で参加。その圧倒的な歌唱力で話題を呼んだ。
奄美編では愛加那の義理の姉、里千代金役で出演。
2020年、コロナの影響で活動が自粛される中、奄美大島の自然の中で唄う活動をスタート。
2021年、コロナ禍のなか、アルゼンチン・フォルクローレのマリアナ・バラフ、ペルー、アヤクーチョ語圏音楽のイルマ・オスノと、リモートで共演するプロジェクト「MAI」に参加。このプロジェクトでで、アルバム「ブリサ・コン・トレス・アロマス」を発表。
この厳しい状況の中、奄美の美しい自然と音楽の喜びを世界に伝えるためライブ映像を世界に発信している。
MBC ラジオ 里アンナ「A cross The Sea~ 旅する音楽~ 」毎週土曜 20:30~ 21:00 放送
里アンナ、オフィシャル・サイト
>https://annasato-primitive-voice.com
■ 中林 万里子(ピアノ)
甲陽音楽学院、のちバークリー音楽大学で、ジャズピアノ、作編曲を学ぶ。
卒業後、現在までにさまざまなアーティストとの共演、楽曲提供、レコーディングなどを重ねている。
自身が影響を受けたジャズ、ファンク、ブラジリアンなどを取り入れたリーダー・ユニット「Madoron」
ファンク/レア・グルーヴのピアノ・トリオ「Nautilus」など、精力的に活動中。
曲目表:
1. ⻑朝花 (7:28)
新築・結婚・新年など、一般に祝いの席で唄われます。座を清める唄と言われています。
2. ヨイスラ (2:19)
奄美の島唄の中で、人気曲のひとつ。
海に出る人々を守護する守り神の多くのエピソードが、奄美大島の姉妹神(うなりがみ)信仰を生み出しました。
「舟の高どもに、とまっている白鳥。いやあれは白鳥ではない。舟旅を守る姉妹神だ」と唄います。
3. 奄美の⼦守唄 (5:23)
泣かないで坊や。と、母親を探して泣く子供にやさしく語りかけます。
4. 太陽ぬ落てぃまぐれ (3:33)
太陽が沈もうとする間際、鳥が鳴いている。
それは恋人のことで鳴いているのか、私のことで鳴いているのか。という歌詞が曲名の由来となっています。
5. おぼくり ~ ええうみ (5:41)
加計呂麻島で、八月祭りで唄われていた曲。「おぼくり」は、奄美大島の古語で、ありがとうという意味の挨拶言葉。
「ええうみ」は、旧暦の八月に行われる 八月踊りで歌われる男女の掛け歌。
※おぼくり
新しい土地を求めて新しい家を作り 萱の節の先をきれいに揃えて家葺きをしましょう 。
切り石垣で 百人の鳶(とび)が建てた黄金の家を祝いましょう。
※ええうみ
八月が近づいてくるけれど着る物がありません。着飾りたいので、兄弟よ、片袖を貸してはくれませんか。
私は山奥のかずらを取ってきて身にまとい、たった一つある着物は子供や愛する人に着せてあげたい。
十五夜のお月様が神々しく輝き、照らしています。恋人が忍んで来た時には、少しだけ雲に隠れて欲しいのです。
メンバー:
里アンナ:唄
中林万里子:ピアノ