TITICA ‎/ PRA QUÊ JULGAR?

いや〜、なかなかものですねえ、その、ちょっと嗄れた中低音ヴォイス、アルシオーネとかちょっと思い出したりもして、伝統サンバでも歌って欲しいもの、と思っていたら、その歌声、トランスジェンダー・ヴォイスだったんですね、いやいや、全然気づきませんでした。
その芸名 “ティティカ”という名は、ポルトガル語で、価値のないもの、役に立たないもの、ということらしいんですが、そんなネーミングも性転換女性であることへの嫌悪や偏見への、反語的な意地を感じさせますよね。
もともとはクドゥロ系アーティストのバック・ダンサーとして活躍していたそうですが(クドゥロ時代のプート・ポルトゥゲイズのバックでも踊っていたそう)、ティティカ自身、2011年にレコーディング・デビュー、そのファースト・アルバムが大ヒット、クドゥロの女王と呼ばれるようになってしまったそうです(寡聞にして、知りませんでしたが…)。
アンゴラ、ポルトガルのみならず、ブラジルでも人気が高まり、サンパウロ、リオにも招かれたそうですが、特にバイーアのマルガレッチ・メネーゼスやバイアーナ・システムとの共演も知られるところだそう(ついでにサンバも歌ってほしかった?)。
そんなわけで、ポルトガル語圏ばかりでなく、コンゴ、欧州、北米でも彼女の人気は大きなものだそうですが、その人気と、差別や偏見に取り組む姿勢を買われてか、国連のUNAIDS(合同エイズ計画)親善大使にも任命されているそうです。
が、ま、そーゆう諸々はともかくとしても、2014年のセカンド・アルバムではパウロ・フローレスやカリーナ・サントスと共演、クドゥロ以外のアンゴラ音楽にも目配りする方向性を見せ、そして、この最近作、2018年のアリィやヨラ・セメドも参加したサード・アルバムでは、冒頭、ft.オスマン・ヤクザ!のクドゥロから始まるものの、キゾンバ〜センバ系の曲も並び、リンガラ語も話せるそのバックボーンから、ルンバやンドンボロっぽいナンバーも収録、あるいは、コートジヴォワールのズグルーにも挑戦と、その中低音ヴォイスの魅力を、汎アフリカ的に発揮しているようなところも、面白く、なかなか聴き応えあり!ですね。

1 Dócado 3:23 featuring Osmane Yakuza
2 Come e Baza 3:31
3 Reza Madame 3:49
4 Pra quê Julgar 3:14
5 São Valentim 4:34 featuring Ebrar Thor
6 Atrevido 3:58 featuring Yola Semedo
7 Nasci para Te Amar 3:22
8 Giro de Bicicleta 3:21 featuring Laton Cordeiro
9 Sobra Raiva 3:26
10 Je suis là 3:53 featuring Ary 
11 Do Parafuso 2:48 featuring O Trio 
12 Bate na Madeira 3:03
13 Me Beija Só na Boca 4:40

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