東南アジア歌謡オールディーズ、究極の1枚と言っていいでしょうね、北米キャピトル・レーベルの “ワールド・ミュージック” 先取りシリーズ〜世界中の EMI – ODEON – COLUMBIA 系列の音源を使って編まれた“キャピトル・オブ・ザ・ワールド” のマレイ〜シンガポール編がこちらのLP アルバムでした。
もちろん、世界初復刻!待望のCD化です。発売元の英国セピア・レコードは、近年、香港や上海の往年の中華歌謡を熱心に紙ジャケCDで復刻していましたが、とうとうマレイ〜東南アジア方面に進出?今後も期待したいところですが、それはともかく、なぜだか、珍しくもオーストリア・プレスだというこのCD、実にイイ音じゃないですか!”24 Bit Mastering” と記されていても、当方、何のことだか良くわからないのですが、LPレコードで聴いたあの立体感のある音が蘇ったようです。というか、いつか見上げたマレイの空が、気持ちの中に蘇るようですよ!(…って、行ったことありませんが)
ところで本盤のオリジナルLPは、1960年のリリースとなっていて、P. ラムリー(1929-1973)&サローマ(1935-1983) 、それぞれをフィーチュアーした6曲づつが、A・B面に収録されていました。けれど、ラムリー名義の曲においても、サローマがバック・コーラス風に歌っている曲や、デュエットもあったりして、そんな構成を鑑みるに、全体の演奏の統一感からも(これまで、シングル曲のコンピレーション・アルバムと伝えられて来ましたが)、もしかしたらオリジナル・アルバムなのかも知れませんね…。ま、断言は控えますけど(収録曲のシングル盤をネット上で探しても見つからないということもありますが)、各曲の並びが一つの空気感のつながりを醸しているように聞こえる作であることは確かです。
(で、後刻、映画の挿入歌だった可能性もあるなあ…と、気づいて調べてみれば、なるほど映画挿入歌が幾つか収録されているよーで、あいすみません!となると、その選曲&曲の並びの妙、当時の北米キャピトルには、現地スタッフとの連携においてナカナカの人材が存在したんですねえ。確かに本盤以外にも、名盤の多いキャピトル・オヴ・ザ・ワールドLPシリーズでした…)
それにしても、何気ない、いいオリジナル・ジャケットですね、LP発売当時のシンガポールのマーケット・ストリートでしょうか?なんだか、活気があるのか閑散としているのか、ちょっと、よくわからない、素のままという感じのイイ写真です(?)。この作のリリース時には、まだシンガポールはマラヤ連邦から独立していませんでした。マレイシアと分離するのは1965年のこと、当時、P.ラムリーはシンガポールの芸能界で俳優&映画監督、作詞作曲家、スター歌手として、そしてサローマは女優兼スター歌手として活躍していました。まさにマレイを代表する男女二人の歌として、このアルバムは1960年に世界リリースされたわけです。でも、未だ結婚していなかったんですね、この時には、この二人が結婚するのは翌1961年のこと、初々しい恋愛感情の中で録音された曲の並び、だったかも知れませんね、
冒頭曲「かあさんがジーンズをはく時」多幸感あふれるマレイ・オールディズ、いかにもラムリーらしいし、そしてマレイらしい、ロックンロールの消化を愉しませるミディアム・アップ・ナンバーで、続くマレイのダンス音楽 “ジョゲット” のラテン調アレンジ曲にも、その後に続くコミカルな調子の「最悪ポクポク独身男(仮)」にも、すんなりつながって行きますね。この辺、愛聴を誘いますよねえ。あるいは、ちょっと霞んだようなストリングスに誘われサローマが歌い始め、深みのあるクルーナー・ヴォイスでラムリーが歌をつなで行くマレイ・バラード6曲目、続く7曲目、アコーディオンとヴァイオリンのたなびくような演奏の中、ミディアムなロンゲンっぽいリズムに乗せ、物思いに沈むような調子の歌い口を聞かせるサローマ、そして8曲目「泣きぬれて(仮)」哀感にむぜぶようなアコーディオン、背後には往年の日活映画みたいなエレキ&ヴィブラフォンも聞こえているマレイ風ボレロ…、たまりませんねえ、もーホント、「泣いているのかい?」と、そっと肩に手を置いてあげたいものです。というわけで、この3曲も、実に愛聴を誘うわけですね。
というか、だらだらコメントが長くなってしまいました。この辺で、
はしょらせていただいて、要するに全曲、愛聴を誘ってやまない1枚、ということで…
はしょらせていただいて、要するに全曲、愛聴を誘ってやまない1枚、ということで…
1 P. Ramlee / Bila Mama Pakai Chelana (When Mama Wears Jeans)
Lyrics by Syed Sudarmaji
Music by P. Ramlee
2 P. Ramlee / Joget Tari Lenggang (Dancing And Swaying)
Composed by P. Ramlee
3 P. Ramlee / Pok Pok Bujang Lapok (The Awful Bachelor)
Composed by P. Ramlee
4 P. Ramlee / Anakku Sazali (My Son Sazali)
Composed by P. Ramlee
5 P. Ramlee / Sri Bunian (A Beautiful Princess)
Composed by P. Ramlee
6 P. Ramlee / Tudong Periok (Pot Cover Hat)
Composed by Traditional
Featuring Saloma
7 Saloma / Inang Baru (A New Dance)
Composed by P. Ramlee
8 Saloma / Dengan Air Mata (With Tears)
Composed by Ahmad Jaafar
9 Saloma / Selamat Hari Raya (Happy New Year)
Composed by Ahmad Jaafar
10 Saloma / Chiki Chiki Boom (Chiki Chiki Boom)
Lyrics by Syed Sudarmaji
Music by P. Ramlee
11 Saloma / Lenggang Kangkong Baru (Malay Folk Dance)
Composed by P. Ramlee
12 Saloma / Tari Tualang Tiga (Dance Of The Three Vagabonds)
Composed by Yusof Blugok
Recorded in Singapore and 1st released in 1960 on LP by Capitol of the World.
1st time on CD.
CD manufactured in Austria.CEDAR 24 Bit Mastering
1st time on CD.
CD manufactured in Austria.CEDAR 24 Bit Mastering