マンドイェパムソロ・チヤニケはジンバブウェ在住のヴェテラン・ムビラ(ショナ人の親指ピアノ)のプレーヤーで、本盤は、このチヤニケを中心とした4者(ムビラ=ムナシェ・チウェセ、エドソン・チウェセ /オショ~マラカス状の簡易打楽器=サムソン・ブーレ)による“クロワ・グロ”という伝統的儀礼における親指ピアノ演奏を世界で初めてドキュメントしたCDRとなります。クロワ・グワとは日本の法事と同じように、死者の魂が成仏するのに欠かせない宗教的な儀礼で、キリスト教系の信徒が大部分だというジンバブウェでも、近年まで多くの人々が行って来たそうです。が、参加者に酒や食事を振る舞うことが義務とされるため、経済的な理由から徐々に廃れていく傾向もあるようです。本作はそのクロワ・グワの重要性や、その開催方法を記録するために松平さんにより録音されました。先祖の霊との交信を助ける楽器とされるムビラの本領がここにあるかも知れません。親指ピアノ・ファンの皆さんには是非聴いていただきたい作品です。