日本、イタリア、ポルトガル、ブラジルの血を引くSSWがジョアン・ジルベルトへと捧げた
ボサ・ノーヴァと自身の多文化的ルーツとの繋がりを模索する一枚
中性的な魅力を放つブラジルの大人気女性シンガー:マリア・ガドゥ(1986- )への楽曲提供はじめ、才気あふれる作詞作曲家としても目下熱い注目を浴びている若手SSW:ルイス・ムラー。ブラジル・リオデジャネイロに生まれた、日本、イタリア、ポルトガル、そしてブラジルの血を引く彼は、〈自身のアイデンティティを構成する全ての文化的要素を融合し音楽化する〉というテーマを持ち、日々その追求に勤しんでいます。今回ご紹介する作品は、そんな彼が〈ボサ・ノーヴァの父〉ことジョアン・ジルベルト(1931-2019)へと捧げた2021年リリースのトリビュート作品。ジョアン・ジルベルトへの敬愛を込められたボサ・ノーヴァ作品であると同時に、ルイス特有のアイデンティティが反映されたユニークな一枚へと仕上げられました。
リオデジャネイロ出身のルイスは、日本人、ポルトガル人、ブラジル人、シチリア人、カラブリア人などの血を受け継ぐ多文化的な家族と共に暮らし、故郷ブラジルのバーや街角でサンバを聴きつつ育ちました。そんな彼は、早い時期より多文化音楽の融合に開眼。ボサ・ノーヴァを基軸に、ジャズ、世界の伝統音楽にも強い関心を抱いた彼は、ブラジル音楽に世界各地のメロディー/リズムと結びつけようと、同国の名門音楽学校3校で学び、卒業後はサンパウロ州文化庁の書記官より新人作詞作曲家賞を受賞、2008年にファースト・ソロ・アルバムをレコーディングしました。プロになって以降は、ワールド・ミュージックの都の一つ:スペイン・バルセロナへと拠点を移し、多様な文化背景を持つミュージシャンたちと共演。5人組多国籍バンド:ミラムンドのメンバーとしても活躍中です。同バンドにおいて、ルイスはヴォーカル/ギター/ヴィオラ・カイピーラ:ブラジルのスチール弦複弦5コース・ギター/チャランゴ・ギターを担当。2019年リリースのアルバム『ソファ』(サンビーニャ・インポート CPSI-9066)は、〈国もジャンルも超越した、力強く美しいワールド・ミクスチュア・サウンド〉とメディアより絶賛されました。
今回ご紹介するルイス2021年リリースのソロ・アルバム『起源』は、ジョアン・ジルベルトへのトリビュート精神とルイスの音楽的探究心が美しく溶け合ったギターの弾き語り作品。シンプルなスタイルだからこそ、彼の音楽家としての才能や魅力がダイレクトに伝わってくる一枚です。ルイスは本作において、ブラジリアン・ローズウッド製のハカランダ・バイーア・ギター、ヴォーカル、そして2本のコンデンサー・マイクを駆使。ジョアンへの敬愛を表明すると同時に、ボサ・ノーヴァの起源を追求、さらにはボサ・ノーヴァと彼自身の多文化的なルーツとのつながり/親和性も模索しています。日本人の聴き手としてやはりどうしても耳がいってしまうのが、千昌夫1977年の大ヒット・ナンバー「北国の春」のボサ・ノーヴァ・アレンジ・ヴァージョン⑥。ボサ・ノーヴァの特徴である甘いウィスパー・ヴォイスと、「白樺/青空/南風」といった故郷の原風景を綴った美しい日本語の歌詞が、実は抜群に相性が良いというルイスの大発見、自身の中に脈打つ2つのルーツのナチュラルな融合が見事に音楽化された傑作であると言っていいでしょう。是非お楽しみに!●日本語による説明をつけた帯を添付しています。
〜サプライヤーインフォより
1. Bahia Com H
2. Isso Aqui E o Que E
3. Corcovado
4. Ate o Sol Raiar
5. Butterfly
6. 北国の春
7. Bate o Pe
8. Jao
9. Flor de Maracuja
10. Samciume
11. Marchinha
12. Calabrisella
13. Skoda lasky