HK & AWA LY / UN AUTLE RENDEZ-VOUS

HKというのはもちろん、あのアシュカです。

フランス北部の炭坑都市リールで結成された在仏アルジェリアンの ヒップホップ系ユニット”MAP”でデビューしたのが06年、その後、新たなグループ、HK&レ・サルタンバンクスを率いて仕切り直し、2枚のアルバムを立て続けに発表、うち 2010年 フランスの300万人ゼネストのテーマ曲になった「On Lache Rien(あきらめない)」は、HK最初のヒットとなりました。
続く 14年作「アシュカ・プレゼンテ・ レ・デゼルテール(脱走兵達)」は、今もって当店指折りのベストセラーです(←「シャンソンを移民の視点から捉え、シャアビの粋を示した大傑作」by 深沢美樹さん〜MUSIC MAGAZINE 2014 WORLD MUSIC-BEST10より)!
15年サルタンバンコスとの3作目、その後、HKソロ名義作を挟んで、19年にはモントリオールで敢行したライヴ録音2CDをリリース、続く20年HKソロ名義のアルバム “Petite Terre” では、コロナ禍以降の世界に拡がる閉塞感を歌い、翌年のミニ・アルバム収録 “Danser encore”では、再び、集まり、踊ることが必要、と訴えたHKでした。この曲は youtube で 800万ヒットとなり、フランスのみならず、欧州各国のアマチュア・シンガー達もカヴァー、ネット上で多くのヴァージョンを生み出し、コロナ “戒厳令” 下のアンセムと呼ばれたりもしました。
…と、駆け足のつもりが長くなってしまいましたが、そんなアシュカの、初の女性歌手とのデュエット・アルバムがこちら、去年末にリリースされた作です。

その女性はアワ・リー、セネガル人の両親のもとパリに生まれ育った自作自演歌手であり、女優だそうです。現在はローマに住まい、イタリアでは主に映画女優として08年以来、7本の映画に出演、そして09年以来フランスで3枚のアルバムと計6枚のEP及びシングルをリリースしています。あるいは、イタリアのカンタトゥーレ、ピノ・ダニエレの北米ツアーに参加したりもしていますが、その歌に関しては、ここでお聴きの通り、飾らず素直な発声において、シャンソンやフォーク、ジャズ、R&B、そしてアフロを横断して行くような歌い手と感じます。加えて、フランス語、イタリア語、英語、そしてウォロフ語でも歌うマルチリンガルの歌手でもあります。
で、素晴らしいじゃないですか、本作でのアシュカとのデュオ!アワ・リーのリキむことのない柔らかなフランス語の発声、そしてどこか、切ないような後味を引きながら、互いに飾らず、普段通りの会話を交わすようにして、生の声の響きを交えているようにも聞こえます。いつも通りのHKマナーのバッキングも、いっそう歌声を通りよく響かせることに徹してるのか、少しばかり透明感さえ感じさせます。
なんというか、アレンジや曲想、スタイル等に先じて、二人の歌が出会っているような、互いに繕うところがないというか、その声そのものの出会いがこのデュエット・アルバムの決め手だった、という風に言えるかも知れません。どんな経緯でこの作が成立したのかは知りませんが、リールとパリ、お互い、異国の血を引いてフランスに生まれ育った者同士、この出会いは貴重なのかも知れませんね?

1. Un autre rendez-vous
2. Etrange étrangère
3. Interlude : la casbah de Lili
4. Inchallah Paris
5. Sur la même longueur d’onde
6. Je suis
7. Interlude : au-dessus de la Seine
8. Comme sur un fil
9. Here
10. Etranges étrangers (interprétation du poème de Jacques Prévert)
11. Welcome

*特に問題のない中古盤で在庫あります。¥1900

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