未曾有の犠牲者を出した第一次大戦は欧州国家の再編を促しましたが、そんな中、ドイツ・ワイマール共和国や、ソヴィエト・ロシアという二つの新生国に挟まれて、同じく大戦直後に成立したのがポーランド第二共和国でした。この共和国は、ドイツ、ロシアと不可侵条約を結び、1918年から39年まで続くのですが、そんな時代、ポーランドで最も歴史ある古都クラクフの、ゲットー(ユダヤ人居住区)でもあったポドグジェにおいて、一次大戦後に興った国家や戦争というものへの民衆レベルの反感や抵抗を反映した、世界初のパンク・ミュージック?とでも言えそうな、アナーキーな音楽を歌い演じたユダヤ系含むポーランド人のストリート・ミュージシャン達が存在していたそうです。そんな過去事実を尊重しつつ、百年近く昔のポドグジェのパンキッシュな音楽のありようを(たぶん精神性重視、想像も交えて)今に再現しようと結成されたのが、この4人組グループ “ハンバ” なんだそう…。
そのデビュー作は2016年リリース、そして本作は2020年のサード・アルバムということになります。で、なるほど、その歌声といい、掛け声コーラスといい、初期パンクと同じような音楽性を聞かせてくれるのですが、反面、前世紀初頭のポーリッシュなポルカとかマズルカみたいにも聞こえて来そうなところもあって、その辺が、前世紀セカンド・ディケイドあたりのポドグジェ音楽の再現という、このバンドの主張につながるんでしょうか?
バンジョー、ウクレレ、マンドーラ+アコーディオン、サックス、クラリネット+ノコギリ、ツィンバロム、ドラムス+スーザフォン、テナー・サックスをそれぞれに持ち替えながら、生音一発録りっぽく繰り広げられる4者の演奏、そのレコーディング音質はともかくとして、もしかしたら、二次大戦前の録音と言われたら、信じてしまうかも…???
1 Nikt Nam Nie Zrobił Nic
2 Luxtorpeda
3 Nie Chcieliśmy Wojny
4 Hiperbereza
5 W Tramwaju
6 Ojcu Św. Piusowi XI-mu
7 Robotnicy COP
8 Tromtadracja, Albo Stosunki Międzynarodowe
9 Tak Nam Dopomóż Bóg
10 Madagaskar
Banjo, Ukulele, Mandola – Andrzej Zamenhof
Clarinet, Accordion, Tenor Saxophone – Tadeusz Król
Drum, Cimbalom, Saw – Adam Sobolewski
Sousaphone, Tenor Saxophone – Ignacy Woland