Originally released on LP in 1983

とうとうCD化されました。ジンバブウェはショナの人々の、数ある親指ピアノ作品の中でも、指折り数えることができる名盤のひとつでしょうね。20世紀を代表するンビーラの名手の一人、エファット・ムジュール（1950–2001）が率いたスピリッツ・オヴ・ピープルの1983年作、遅れ馳せながら、入荷して来ました。
＞こちら、もう一方のンビーラ名手、ドゥミサニ・マライレとのエファットの共作、1996年にリリースされた “ショナ・スピリッツ” では、互いに問わず語り風に歌う二人が、繊細なンビーラ演奏を、雨だれのように奏で合う静かな作品だったと思います。あるいは、雨の降る夜、屋根の下、膝を突き合わせて演奏するような、そんな作でした。
が、本作の表題曲 “ンバヴァイラ” はショナ語で “火” を意味するそうです。そう聞いてしまうと、どうにも手前勝手な空想でしかないのですが、小さな村の広場で、夜の焚き火を囲んで、この演奏が奏でられているような、そんな風に聞こえて来る作かも知れませんね。炎が生み出すおぼろな影が刻々と姿を変えて行く、形の定まらない動きを連想させるンビーラの演奏、と聞こえないこともありません…。
ジンバブエの小ぶりな瓢箪シェイカー、ホーショのシャキシャキとしたリズムに合わせ、時に弾んだ太鼓の音も聞こえて来ます。上向きに放たれて、中空で交わるような野趣満点の歌の掛け合いに、伸び伸びとした女声も加わり、そして、細やかに姿を変えながら、夜風に揺れるように反復されるンビーラの重奏…、その残響の中、夜空に登ろうとした火の粉がすっと消えて行く、そんな光景を見ている気になって来るのでした。
というわけで、単なる印象というか、連想をふくらませただけのことしか書いていませんが、＞こちらで、すべて言い尽くされていますので、ここに改めて書くことが無かった、というのが正直なところです（無断リンク陳謝＆感謝！）。なんだか、すみません。が、ホント、いい作品ですよね。収録時間は短いけど、そこがまたイイような気がします。

1.Mbavaira 05:53
2.Kuenda Mbire 05:47
3.Mudande 05:58
4.Nyama Musango 05:19