ガーシュインやD.エリントンの楽曲をボサ・ノヴァのスタイルに仕立て直し人気を博したブラジルはポルト・アレグリのグループがデリカテッセン。女性voを擁したこのグループでアレンジを書いていたのがギター奏者のカルロス・バヂアですが、2012年のグループ離脱以降に書き貯めた楽曲を自ら率いる新グループと共にインストゥルメンタルと歌ものの二枚組として発表したのが本盤。歌ものの方(「Cancoes」)では、元々がシンガーを志した訳ではない者のみが持つ新鮮さ、プリミティヴな姿勢の魅力と、欧州のジャズにも通じる洗練された編曲術のバランスでなかなか他ではお目にかからない類いの作品となっています。MPB/ボサ・ノヴァの磨き上げられた手法が織り込まれた冒頭の”Mundo” にはジョアン・ドナート(p)が参加。フォーキーな”Filho” に上品に軽やかなサンバ”Este Danado do Samba”、キューバ音楽的なリズム&ハーモニー構築が施された”O Velho”、ホナウド・アウグストの詩に曲を付けた”Alguem Mais” ではスウィング・ジャズの様相を呈します。前半だけでこのヴァリエーション、カルロス・バヂアの音楽家としての蓄積を一挙に見せてくれています。同郷のS.S.W.ヴィトール・ハミルとデュエットしたハイブリッド・フォーキーな”Artenauta”、ジスモンチ作”Auto-Retrato” のタブラ奏者とフレットレス・ベースの参加も仰いだ特別なカヴァーで一枚目は幕を閉じます。2枚目の「Instrumental」では、生ギターの音づくりからして空間を意識した響きとなっており、そこにeg の多重録音やゲストの木管奏者が加わったブラジルに於けるジャズ・フュージョンの系譜。ベースのエヴェルトン・ヴァルガスと共作された”Marco Zero” などジャズのエッセンスを凝縮したものから、ブラジル南東部の地では隣り合わせとなるアルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレへオマージュを贈った”Zamba de Los Hermanos” まで。(以上、サプライヤーインフォより)