V.A. / BEAUTY OF TRADITION ミャンマーの伝統音楽、その深淵への旅

BeautyOfTradition*現地に機材を持込み、40日かけて録音した100曲から厳選された12曲だそうです。サイン・ワイン楽団やパッ・ワインのソロ、古典歌謡や仏教歌謡など、なんとも不思議な彼の国の伝統音楽の、代表的様式をひと通り楽しめる選曲になっているところが嬉しいわけで、入門用にも最適ですが、個人的には、これまで聴いたビルマ伝統音楽の中でも最も繊細で端正な作品の一つ、しかも何とも風通しがイイ演奏だと感じています。このジャンルに普段から親しんでいる方におきましても、コレはご推奨できる労作CDかと。
>こちらでも紹介されていましたね(無断リンク陳謝!)。
こちらで試聴可!>☆

▽以下、メーカー資料より

バングラディッシュ、インド、中国、ラオス、タイの5ヶ国に囲まれたミャンマーの、18世紀より続く伝統音楽。40日かけ11グループの演奏により録音した100曲の中から、今回12曲をセレクト。サインワインを中心に、ビルマ竪琴や太鼓、歌などによる不思議なオーケストラや、ソロ演奏。ミャンマー200年前の、古くも新しいラブソングに想いを馳せてみては...ミャンマー伝統音楽による200年前のラブソング。

01.パッワインの独奏~コナタンジーによる演奏
02.ベインバウン~フネーがリードする、サインワイン楽団の演奏
03.ヤトーダヤー~仏教的内容の古典歌謡
04.パントゥエラー~堅琴と聴く、モン族歌謡
05.スウェドー~仏歯を描写した古典歌謡
06.人生の虚しさを詠んだテーダッ~パッタラーの独奏
07.ドーバッで演奏される民謡
08.トゥリンフリャンレッ~女性が愛を伝える古典歌謡
09.ミャンマギリ~ドウンミン、マンドリン、パルウェーの合奏
10.ナッ(精霊)、ミンピューシンを招く歌~ナッ信仰の音楽
11.ダビェーピンウン~パッタラーの独奏
12.新しい時代のサインワイン~現代的な編曲のサインワイン楽団の演奏

手つかずのピュアなミャンマーの伝統音楽を残したいという想いから2013年の4月から5月にかけての40日間、ミャンマーの最大都市ヤンゴン、その中心部から少し離れた郊外のスタジオに機材を持ち込み、録音を行ないました。
全ての演奏は現地の演奏家によるもので、その収録曲はおよそ100曲にのぼります。本作品ではその膨大な記録の中から、謎に満ちたミャンマーの伝統音楽を知る手掛かりになるような楽曲を選曲しています。
隣接する周辺諸国と相互に影響し合いながらも、独自の発展を遂げてきたミャンマーの伝統音楽。
その不思議で光輝くような音楽を12曲にまとめました。
ミャンマーはバングラデッシュ、インド、中国、ラオス、タイの5カ国に囲まれる他民族国家です。
ミャンマーには主要な民族は8つあり少数民族もいれると135部族にもなり、そのうちビルマ族が70%を占めています。
このCDにははビルマ族の古典音楽、村落歌謡、ナッ神(精霊)信仰の伝統音楽が収録されています。
録音は18世紀に作られたものが中心でありますがミャンマー古典音楽の作者不詳の作品の中にはもっと古くに作られたと考えられるものもあります。ミャンマーの音楽には楽譜がなく代々歌い継がれて伝承されてきました。
皆、何度も歌いながら一小節ずつ覚えていったそうです。
そして、ミャンマーにはサインワインという不思議な楽器があります。
木でできた丸い円の中に22個の音階のある太鼓をぶら下げたもので、サインワインが中心となったサインワインオーケストラというものがあり、ミャンマー特徴的な音楽といえます。
それと、竹山道雄の『ビルマの竪琴』で有名な竪琴があります。赤いボディの美しい音色をした16本の弦楽器です。
このCDにはその様な魅力的で、歴史的にも興味深い演奏が収められ、
又、大阪大学大学院 言語文化研究科 井上さゆり准教授に全12曲の解説をお願いして
それぞれの楽曲のジャンル、制作年代、内容を分かりやすく学術的に説明していただいております。

200年前のラブソング
僕はインディペンデントの音楽レーベルをやっている。
このドキュメンタリーを作る切っ掛けはひよんな事からだった。
僕の事務所に古い友人から電話が入った。
君の事務所でミャンマー人の若者が働くことはできないだろうか?
ミャンマー人との邂逅がすべての始まりとなった。
もともと、僕は民族音楽が好きだった。
小泉文夫みたいな事ができたらいいなとも思ったことがあったし。
そしてトランク7ヶ分の録音機材を持ち込み
ヤンゴンの郊外の小屋で録音することになった。
現地で伝統音楽をやっている音楽家11グループが集まり
毎日録音を繰り返した。
40日かけて100曲になった。
時期はミャンマーの正月、水掛け祭りの頃。
これらの風景をカメラに収めた。
ミャンマーはタイ、カンボジア、ラオス、中国、インドの五カ国に囲まれている。
主要な民族は8部族で細かくは135部族ある多民族国家だ。
今回の録音ははビルマ族中心となり、18世紀の頃からの伝統音楽となった。
サインワインという太鼓が21個、木の風呂桶みたいなのにぶらさがった不思議な楽器がある。
これはこの地方の独特な楽器である。
それが中心となりサインワインオーケストラが構成される。
この楽器が指揮者となるのだ。
音階も特殊である。
又、歌を中心に演奏されるが伴奏といった概念はない。
みな歌にフレーズを重ねるスタイルで所謂、和音は存在しない。
西洋のコードの耳で聴くと違和感を感じることもある。
でも、妙な調和があるのだ。
フレーズもその曲だけのものではなく
時には他の曲中にも使用されたりする。
同じ定型的フレーズがいくつもの曲に存在することがある。
そして、譜面はない。
だから、皆、耳で覚えていく。
人から人へ伝えられるのだ。
多少の変化をとげながら。
今、ミャンマーはアウンサンスーチーが解放され、軍事政権下から民主化へと進み、
外国企業が次々と入り込んでいる。
次第に変化の動きはきている。
音楽家達のマインドも変化し
きっと、伝統音楽の在り方も変わっていくのであろう。
時代毎に変化をしながら伝えられるのが伝統音楽かもしれない。
だからこそ、今のこの時期に伝統音楽を録音してみたかった。
遠い昔を旅しているような錯覚のなかで。

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