MALIKA DOMRANE / LE MEILLEUR, Musiques et chants de kabylie


malika-domrane2cdmalika-domraneこれはいつものMLP ダブルベストとは違うかもしれません。マリカ・ドムランは1956 年ティジ・ヒベル(大カビリア=カビール地方)生れ、現役の女性自作自演歌手です。
子供の頃から個性が強く、男の子たちを連れ歩くガキ大将だったそうで、リセには校則に逆らってパンタロンを履いていった。早くから女性解放の思想に自覚的だったということだけですが、それだけではなくアラブ語強制教育にも反抗していて、参加していた合唱団のために歌詞を書いていてその中に「私にアラブ語は要らない」という歌までありました。
ティジ・ウズ(カビリアの首都)のファドマ・ンスームール高校の合唱部はカビリアのみならずアルジェリア全国で巡演するような有名な合唱団で、マリカは15 歳から作詞作曲をしてこの合唱団の中心的な存在になります。しかし、合唱団代表としてアルジェリア大統領ブーメディエンヌに、カビリアを象徴する白のバーヌース(フード付きマント)を授与することをボイコットしたり、あからさまにアルジェリア中央政府へのカビリアの服従を拒否する行動をします。
またマルグリット・タオス・アムルーシュ(1913-76。チュニジア出身のベルベル作家・歌手。パリ・ベルベル・アカデミーの創立者)との出会いもマリカをおおいに勇気づけ、カビリア・ベルベル文化を擁護するアーチストとしての道を開きます。汎アフリカ音楽祭で金メダル、アルジェリア全国ラジオへの出演などで、マリカは有名になり、1979 年、カビリアの人気男性歌手ソフィアンとデュエットのレコードを録音するために、初めてパリにやってきます。空港にはスリマン・アゼムが迎えに来たと言います。
ここでアマジーグ語作家・詩人・民俗学者のムールード・マメリ、亡命カビリア歌手イディール、ジャメル・アラム等と知己を得ます。ソフィアンとのデュオアルバム(マリカの初アルバム)は大成功を収めますが、そこでもマリカはフランス軍によるカビリア侵攻と村民虐殺をテーマにした歌を書いていて、若き女性プロテストシンガー(おそらくカビリアでは最初)としてカビリア人から喝采され、アルジェリア政府から睨まれることになったのです。
カビリアに戻り、80 年代から、学生を中心としたカビリア語・カビリア文化自由化運動が盛り上がると、マリカは官憲の検閲や脅迫や嫌がらせを受けながらも、「カビリアの春」の思想を歌で伝播する「カビリアのジョーン・バエズ」となり、屈服しないカビリア、屈服しない女性たち、タブーのない愛などを歌うのでした。ここでもちろん、マトゥーブ・ルーネスやタクファリナスと連帯し、共演し、同じ舞台で自由を歌うことになるのです。
しかし90 年代、「カビリアの春」が鎮圧させられてしまっただけでなく、アルジェリアは暗黒の内戦時代に入ります。94 年にフランスの亡命、98 年にマトゥーブ暗殺、2003 年の「フランスにおけるアルジェリア年」の参加を拒否。アルジェリアの悲劇への傷心で消耗してしまったマリカですが、2004 年からカナダ、イタリアなどをツアーして復帰。2006 年にはカビリアとアルジェリアの複数の市民団体からオマージュを捧げられ、「カビリアの勇気ある女性」「カビリアの抵抗のマドンナ」として再評価されています。
このダブルベストアルバムは2009 年に編集されたものです。なお、CDには解説のようなものは一切ありません。(〜サプライヤー氏・入魂のインフォより)

CD 1
1. FKIY AK SSURA (私の魂の影)
2. XIRRA (挑戦)
3. ADELLAGH (ゆりかご)
4. TAMENGGURT (不妊症の女)
5. ZELGH MANI (わらべ歌)
6. ASARU (欲望の対象)
7. LEHMALA W (異常な愛)
8. LYIL IW (重荷)
9. UGADEY (無遠慮な鏡)
10. TAZEQQA (愛の巣)
11. LEMHIBA (失われた幻想)
12. AJEGGIG (悪徳の花)
13. JWAG IW (呪われた縁)
14. TASUMTA(枕)
15. GULEGH(誓い)
16. TAWINT IGENNI (嘆き)
CD 2
1. TAMGHART (競争)
2. AD’OUYI (暴かれたタブー)
3. FARROUDJA (ファルージャの踊り)
4. TSHUA (子守唄)
5. MEZGHENA (郷愁のアルジェリア)
6. TAYRIW (私の恋人)
7. TIRGA TEMZI (青春の夢)
8. WAGI (運命)
9. A VAVA (死者への頌歌)
10. ASSIF (河)
11. AZWAW (ヌミディア)
12. TAMURT IMAZI GHEN (若者たちの祭り)

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