話題になっていますね!文化人類学や音楽人類学や映像人類学や言語学や、そうした分野の先生がたが、もう、それぞれにお好きなアフリカ音楽について語り論じてくれるわけですね。ま、先生は先生ですが、強度の音楽マニアでもあることは行間に滲んで、ハッキリ言って、先に音楽ありきでその専門分野に進んだんじゃないかという疑いも(!?)。その、一音楽マニアとしてアフリカのポップ・ミュージックを聴き感じたことごとを、それぞれの専門的な考察に照らし合わせ平易に語ってくれる本、と、パラパラめくり読みしながら感じています。というわけで、これからわたしも読ませていただこうかと…(で、注目!著者のひとり、松平勇二さんは当店ジンバブエ盤CDサプライヤーを長年つとめてくれていて、ほか、ご自分で制作されているムビラCDR>こちらは、当店でも売らせていただいているので、愛聴されている方も多いかと…。本書ではチムレンガ・ミュージック〜マプフーモについて書かれていますよ!)
▽以下、出版社資料より
レゲエ、アフロ・ビート、ターラブ、エチオジャズにヒップホップ等々…。アフリカ音楽を愛しすぎるあまり、現地で音楽に触れるにとどまらず、ついには文化人類学として研究するまでになってしまった著者たちが語る、魅惑のアフリカ・ポピュラー音楽の世界。
【執筆者紹介】
*鈴木裕之(すずき・ひろゆき)
国士舘大学教授。
専攻は文化人類学。慶應義塾大学出身。西アフリカの都市音楽およびマンデのグリオ文化を研究。妻はギニア出身の歌手・ダンサーで、マンデのグリオでもあるニャマ・カンテ。調査と家族づきあいが渾然一体となった生活を楽しむ日々を過ごす。
主な著書:『ストリートの歌―現代アフリカの若者文化』(世界思想社、2000年、渋沢・クローデル賞-現代フランス・エッセー賞受賞)『恋する文化人類学者―結婚を通して異文化を理解する』(世界思想社、2015年)
主な訳書:エレン・リー『アフリカン・ロッカーズ――ワールド・ビート・ドキュメント』(JICC出版局、1992年)エレン・リー『ルーツ・オヴ・レゲエ―最初のラスタ レナード・ハウエルの生涯』(音楽之友社、2003年)マビヌオリ・カヨデ・イドウ『フェラ・クティ――戦うアフロ・ビートの伝説』(晶文社、1998年)レヴィ=ストロース『神話論理 Ⅳ――2』(共訳、みすず書房、2010年)
*川瀬 慈(かわせ・いつし)
国立民族博物館助教。
アフリカの音楽文化を対象にした映像人類学研究を行う。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程を修了。ハンブルク大学(2013年)、ブレーメン大学(2014年)客員教授。
主な著書:『見る・撮る・魅せるアジア・アフリカ!―映像人類学の新地平』(共編著、新宿書房、2006年)『フィールド映像術(FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ15)』(共編著、古今書院、2015年)
主な民族誌映画作品:『Room 11, Ethiopia Hotel』、『ラリベロッチ――終わりなき祝福を生きる』、『精霊の馬』
*青木 敬(あおき・けい)
京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科博士後期課程
専攻:クレオール学、ルゾフォニア研究、文化人類学
主な論文:「歌謡モルナに見られるカーボ・ヴェルデ人の文化的アイデンティティ」(京都外国語大学外国語学研究科修士論文、2013年)
*塩田 勝彦(しおた・かつひこ)
大阪大学非常勤講師、東京外国語大学非常勤講師
専攻:言語学、西アフリカ諸語
主な著書:『ハウサ語基礎文法』(大阪大学出版会、2010年)、『ヨルバ語入門』(大阪大学出版会、2011年)、『アフリカ諸語文法要覧』(編著、渓水社、2012年)。
*檜垣 まり(ひがき・まり)
カイロプラクター
専攻:文化人類学
主な著書・論文:「コミュニケーションの媒体としての歌謡と服飾文化――タンザニア、ダルエスサラームにおけるターラブとカンガの役割」(『スワヒリ&アフリカ研究』第14号、2004年)、「ターラブと最新ヒット曲」(多摩アフリカセンター編『アフリカン・ポップスの誘惑』春風社、2007年)、CDシカモー・ジャズ・バンド『カヤカヤ』企画作成(2000年)。
*松平 勇二(まつひら・ゆうじ)
名古屋大学文学研究科博士研究員
専攻:宗教人類学、音楽人類学
主な著書・論文:「ンビラ(mbira)演奏とバントゥ農耕民ショナ族の祖霊信仰」(嶋田義仁編『シャーマニズムの諸相』勉誠出版、2011年)、“Ways of Making and Playing the Mbira” CULTURES SONORES D’AFRIQUE V publie sous la direction de Junzo Kawada, Universite Kanagawa, March, 2012、「ジンバブエ社会とショナ歌謡」(『文芸思潮』第54号、アジア文化社、2014年)。
*矢野原 佑史(やのはら・ゆうし)
京都大学アフリカ地域研究資料センター研究員
専攻:音楽人類学、映像人類学
主な著書・論文:『カメルーン都市部においてアングロフォンの若者が実践するヒップホップ・カルチャーに関する研究』(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士予備論文)、「音響空間としての森と子どもたち」(木村大治、北西功一編『森棲みの社会誌アフリカ熱帯林の人・自然・歴史Ⅱ』京都大学学術出版会、2010年)。
以下、目次〜
はじめに
第1章 カーボ・ヴェルデのクレオール音楽(青木敬)
1 はじめに――ソダーデの想いを奏でるカーボ・ヴェルデ音楽
2 歌謡モルナの歌詞から読み取るカーボ・ヴェルデ人の心
3 クレオール論――奴隷制から混淆性へ
4 おわりに――世界を航海する音楽
CD紹介
第2章 タンザニアのスワヒリ歌謡、ターラブの1世紀(檜垣まり)
1 はじめに―ターラブとの出会い
2 ダルエスサラームにおけるターラブ・クラブの歴史
3 人々を結ぶターラブ
4 おわりに
CD紹介
第3章 伝統とモダンのあいだ―あるグリオ一族の歴史(鈴木裕之)
1 はじめに―グリオとの出会い
2 マンデ・ポップスの発展とグリオ
3 伝統か、ポップスか
4 おわりに―消えた精霊
CD紹介
第4章 闘争の唄、チムレンガ・ミュージック(松平勇二)
1 はじめに
2 ジンバブエ社会とチムレンガ・ミュージック
3 マプフーモ音楽の真髄―格差とのたたかい
4 おわりに
CD紹介
第5章 情報で世界とつながる―アビジャン・レゲエの成立と展開(鈴木裕之)
1 はじめに―レゲエとの出会い
2 アビジャン・レゲエの成立
3 アビジャン・レゲエの展開
4 おわりに―リアルとヴァーチャルのあいだ
CD紹介
第6章 フェラ・クティのアフロ・ビートと、ナイジェリア音楽(塩田勝彦)
1 はじめに―フェラの死と出会い
2 フェラの生涯とアフロ・ビートの歴史
3 言語と民族の坩堝ナイジェリアとその音楽
4 おわりに
CD紹介
第7章 イマジネーションの共振―エチオジャズの世界的展開(川瀬慈)
1 はじめに―エチオピア音楽の近代化
2 新旧のエチオジャズ・プレーヤー
3 エチオピクス・シリーズをめぐる議論
4 おわりに―アジスアベバの夜
CD紹介
第8章 エチオピア表象の理想をめぐるジャム・セッション(川瀬慈)
1 はじめに―“無形文化”への認識
2 エチオピア移民への上映
3 バハラウィ系ミュージックビデオ
4 まとめにかえて
第9章 カメルーンの若者たちが望む世界――ヒップホップ・ミュージック制作現場から(矢野原佑史)
1 はじめに―ヒップホップとの再会
2 若者たちとの調査
3 アングロフォンの若者たちが望む世界
4 おわりに―変わり続ける世界と若者たち
CD紹介
映像で楽しむアフリカン・ポップス~DVD紹介