多くは言いますまい…不肖わたくしめが長年愛聴して来たゼキ・ミュレンCDです。ものは試しと20年前のリリースのこのCDをオーダーしてみたら、入荷しましたよ!という顚末ですが、やはりゼキ・ミュレン(1931-96)は廃盤にならないようですね、たぶん。
1950年代前半ラジオで古典声楽を歌い出し、1950年代後半には本格的にレーコンディングを開始、古典歌謡をベースとした映画挿入歌を多く吹き込み、その悠々とした節まわしを披露、トルコ歌謡ならではの典雅な哀愁溢れるロマンチシズムを聞かせる人気歌手となって行ったわけです。本盤は、そんなゼキ・ミュレンが最も聴衆の望みに沿った歌をうたい、広く大衆性を発揮した時代の録音集であり、おそらくカミングアウト?/女装を始める以前の、1960年前後頃のシングル作品復刻集ということになるかと。当時、トルコではシングル・リリースが一般的であり、このトルコで5指に数えることができる歌い手、ゼキ・ミュレンにしても、1970年代までLPアルバムというものがなかったわけで、逆に個性をアルバム単位で主張できる70年代になると、エグ味が強くなりすぎてしまい、ちょっとトゥーマッチな歌を聞かせることもあったゼキでした。あるいは、50年代半ばの古典的格調がより高い時期と較べてみても、このCDに聞けるシングル録音集、より親しみが持てる流行歌という雰囲気も漂っているかと…。愛聴してきた理由はその辺にあります(って、本当は、その昔、とうようさんが8番がイイよ、おっしゃられたから手に取った一枚だったんですけど…)。
1.Bir Demet Yasemen
2.Elveda Geçti Artık Güzel Günler
3.Ömrüm Senin Olsun
4.Kalbimde Tek Hatıran Rengi
5.Bir Gönül Hikayesi
6.Tekrar Bana Dönersen
7.Deva Bulmayacak mı?
8.Şimdi Uzaklardasın
9.Sensiz Saadet Neymiş?
10.Manolya