ヴァネッサ・モレーノは音の大海原。リズム、息を呑むようなスイング、調律の整った声、安らかで親密なギター。彼女を聴くということは、常に興味をそそる人に出くわすということであり、音色から、ボディ/楽器を用いたドラミングまで、彼女が選択することに対する美味な驚き。 ーレイラ・ピニェイロ(歌手)
ヴァネッサ・モレーノ&フィ・マロスティカ名義で発表した『ヴェン・ヴェール』(2013), 『コーリス・ヴィヴァス』(2016)がサンパウロで興った新しい価値観を持った世代のミュージシャンによる潮流-ノーヴォス・コンポジトーレスと密接にリンク、国内外で非常に高い評価を得た後も1stソロ・アルバム『Em Movimento』(2017)、新進気鋭の若手ピアノ奏者サロマォン・ソアレスとのデュオ・アルバム『Chão de Flutuar』(2019) と立て続けに作品を発表。精力的なライヴ活動が期待されましたが、コロナ感染症によるパンデミックにおいて、ヴァネッサ・モレーノは自宅からのライヴ配信という手段を選びます。ほぼ日替わりに様々なミュージシャンとのオンライン・セッションを公開、日に日にチャンネル登録は伸び続け、述べ1万人を超える視聴者にライヴ活動を行いました。そのセッションや弾き語りの中で、15歳の時に自らを音楽活動へ導いた相棒であるギターと声という原点に戻り、より自分自身の内面と向き合うことを選びます。ベーシック・トラックは唄とギターの一発録りで、一体感に溢れる包括的な空気感を収めることに成功しています。舌を打ったりするヴォイス・パーカッションをアクセントに、コーラス・ハーモニーは彩りとして多重録音。ひとりオーケストラとでも呼びたくなるような、シンプルながらマルチなサウンドを各曲毎に考慮しながら制作された本アルバムからは、音楽への愛情や取り組む喜びといったものが眩いばかりに溢れ出てきます。スキャットなども駆使した多くのフレッシュな自作曲のほか、m-4”Azul”はコロナ禍の映像配信でも人気の高かったジャヴァンの楽曲。m-8”Feminina”はヴァネッサの音楽観を形成したひとり、ジョイス・モレーノの傑作アルバム『Joyce – Feminina』(1980)のオープニングを飾る楽曲で、ジャズ・サンバのリズムをギターに置き換えて独奏しています。m-9”Verão”はヴァネッサにとってもうひとりのアイドルで、『コーリス・ヴィヴァス』にもゲストで参加しているベテラン女性ボサノヴィスタ、ホーザ・パッソスの作。たおやかなギターの和音に編曲して伸びやかに歌い上げています。
〜メーカーインフォより
▽すべて、レコーディング風景、素晴らしい!ギター弾き語りというブラジル音楽の基本を自在に体現する女声&ギター、一声一声、そして一音一音にハーモニーとリズムが弾けています!