膨大なワールド・ミュージックの音源を保有するスミソニアン・フォークウェイズから「ミュージック・オブ・インドネシア」のシリーズ第一作が発売されたのが1991年。足掛け7年間に渡りリリースを重ね、1999年に完結した同シリーズは最終的に計20作もの大作となり、スミソニアン・フォークウェイズを代表する作品群として大きなインパクトを放っています。伝統音楽からダンドゥッドまで、スマトラ島からニューギニア島まで、インドネシア全域のあらゆる音楽をフィールド録音した同シリーズの中でも、切り口が面白くまた充実した内容から特に人気が高いのがシリーズ最終作『インドネシアン・ギター』です。
インドネシアのギターと言えば、世界最古のポピュラー音楽とされるクロンチョンの演奏の核を担う、小型ギターのクロンチョン・ギターを思い出す方が多いかもしれません。また都市部のポップスやジャズにはギターが欠かせませんし、優れたロック・ギター奏者も多数活躍しています。タイトルの通りインドネシア各地のギター・ミュージックをコンパイルした本作は、西洋から持ち込まれた楽器であるギターを如何に応用し自分たちの音楽にフィットさせてきたか、独自の音楽を生み出してきたかに着目して、ルーラルなエリアのアクースティック演奏の音源を集めています。スーフィー音楽、インド音楽、ハワイ音楽等の影響を消化して表現する演奏もあり、実に多彩な収録内容ですが、全体に共通するのはリラックスしたトーン。1枚のアルバムとしてじっくり楽しむことが出来る作品になっています。
変則チューニングの豊かな響きを生かした盲目のギタリストと女性歌手のデュオ、ハワイアン・スティール・ギターを含むクロンチョン・グループ、そしてジャケットに映る小型ギターで弾き語るスンバ島の女性歌手など、実に様々な演奏者達が集められていますが、中でも特筆すべきは最後に収録されたスアラサマ。アメリカのインディー・レーベル、ドラッグ・シティからリリースしたアルバムがサンフランシスコ・クロニクル紙とイギリスのアンカット誌でベスト・ワールド・ミュージックに選ばれた伝統音楽研究家の夫婦デュオで、2010年には国立民族学博物館のイヴェントで来日したこともあります。その陶酔感溢れる音楽がサイケデリックな音楽のファンから根強い人気を得ています。
ワールド・ミュージック・ファンは勿論、アシッド・フォークやエクスペリメンタルを愛するリスナーにも届いてほしい、この隠れた名盤。夏の夜、じっくり浸って頂きたい作品です。
1 Grup Bamba Puang / Kemayoran 4:53
Guitar – Moh. Firdaus
Vocals – Rahman, Suhaeni
2 Usman Achmad & Diswansoni / Stambul Naturil 3:57
Guitar, Vocals – Usman Achmad
Kroncong Guitar – Diswansoni
3 Sahilin & Siti Rohmah / Terang Bulan 5:52
Guitar, Male Vocals – Sahilin
Female Vocals – Siti Rohmah
4 Yohanes Terpanjang (Haingu) / Ludu Pambuhang 6:12
Lute=Jungga, Vocals – Yohanes Terpanjang (Haingu)
5 La Podding / Sungguh Terpaksa 4:12
Composed By – Rhoma Irama
Lute =Kacapi, Vocals – La Podding
Voice – La Mamma
6 Grup Bamba Puang / Los Quin Tallu-tallu 6:15
Guitar – Moh. Firdaus
Vocals – Rahman, Suhaeni
7 Usman Achmad / Nasib Mak Kualon 6:23
Guitar, Vocals– Usman Achmad
8 Orkes Kroncong Mutiara / Langgam Di Bawah Sinar Bulan Purnama 4:54
Banjo – Topik Sandy
Bass Guitar – Piet Janwar
Cello – M. Sandy
Composed By – Arimah
Flute – Winarto
Guitar Hawaiian – Suhaery Mufti
Guitar – Suherman
Ukulele – M. Nur
9 Band Teleu Nekaf / Kolo Kot Matani 6:53
Fiddle=Heo – Hendrikus Tefa, Lukas Tefa
Lead Vocals – Baltasar Nali, Mathias Paul
Lute=Bijol – Mikhail Nali, Yosef Poli
Lute=Letes – Silfester Poli
10 Sahilin & Siti Rohmah / Nasib Muara Kuang 6:15
Guitar, Vocals – Sahilin
Female Vocals – Siti Rohmah
11 Ataratu / Ludu Parinna 9:40
Lute =Jungga, Female Vocals– Ataratu
12 Suarasama / Fajar Di Atas Awan 7:19
Composed, Guitar, Vocals – Irwansyah Harahap
Harmonium=Sruti Box – Syainul Irwan
Lead Vocals – Rithaony Hutajulu
Percussion – Ernie Zulfan Rangkuti, Nandang Kusnandar
スミソニアン・フォークウェイズのシリーズ〈ミュージック・オブ・インドネシア〉 陶酔的な魅力に溢れる隠れた名盤
膨大なワールド・ミュージックの音源を保有するスミソニアン・フォークウェイズの「ミュージック・オブ・インドネシア」は計20作の大作シリーズ。インドネシア全域のあらゆる音楽をフィールド録音した同シリーズの中でも、特に人気が高いのがシリーズ最終作となる本作だ。インドネシア各地のギター・ミュージックをコンパイルした本作は、西洋から持ち込まれた楽器であるギターを如何に自分達の音楽に応用してきたかに着目。様々な演奏者達が集められているが、全体に共通するのはリラックスしたトーン。最後に収録されたスアラサマはドラッグ・シティからリリースしたこともある実力派。アシッド・フォークやエクスペリメンタルを愛するリスナーにも届いてほしい陶酔的な一枚だ。●日本語による説明をつけた帯を商品に添付
〜サプライヤーインフォより