LHIN & OLETAR / MEMOIR OF JAPANESE OLDIES

何人かのお客さまにリクエストをいただき、再々入荷です!

いま一つ意味不明ながら、タイのフォーキー&ボサな男女ふたり組による「北酒場」の日本語カヴァー、実にイイ湯加減ですねえ、青々とした水田で小さなマラカス振りながら小躍りしつつ歌う youtube クリップ、是非ご覧ください。

ほか、“Let’s go!! Rider Kick” とか “Chotto Matte Kudasai ” とか  “Minato Machi Blues” とか…、実に選曲がビミョーなんですが(タイガーマスク”みなしごのバラード”さえ歌っています)、ま、要するにタイの若手(そんなに、若手じゃないかも知れませんが)、日本の昭和歌謡マニアのデュオ、ということになるんでしょうか?
クリップで見る限り、ふわふわした感じの、笑みの絶えない女性歌手と、タフガイ風の生真面目そうなガット・ギター男性という組あわせも、なんだか印象に残ります。
なんというか、海外における “JAPANESE OLDIES” カヴァー・アルバムというものじたい、個人的には、あんまり聞いたことがありませんが、そんな未踏ジャンルの先陣を切ることにおいて、実にビミョーな浮遊感漂うアルバムである、と、言うことは可能でしょう。

1. Let’s go!! Rider Kick 2:55
2. Kassai 4:14
3. Kita Sakaba 4:01
4. Go! Tiger Mask 3:09
5. Minashigo no Ballad (instrumental) 3:24
6. Saraba Namida To Iou 3:36
7. Minato Machi Blues 5:00
8. Doraemon no Uta 3:30
9. Subaru 4:35
10. Sukiyaki (instrumental) 3:05
11. Chotto Matte Kudasai 3:33

以下、蛇足ながら、当方担当の NHK AM ラジオの 小コーナーで本CDを紹介した際の台本元原稿となります。

「東南アジア、タイで愛された日本歌謡曲」
今日はちょっと、いつもとは、趣向を変えて、日本の歌謡曲を聴いていただきたいと思います。
とはいえ、このコーナーのこと、日本の歌手が歌う日本の歌を聴いていただいても、趣旨にそぐわないので、東南アジアの国、タイの女性歌手とギタリストが、歌い演じて聞かせてくれる日本の歌謡曲を聴いてもらいます。ということで、とりあえず、1曲、お聞きいただきましょう!

曲は『北酒場』
歌とギターで、Lhin & Oletar リン&オレター、
それでは、お聞き下さい。

 

どうですか?女性歌手、リンさんこと、リン・ウォラバラン・タントンサクル、ちょっと舌足らずに可愛らしい声で聞かせてくれた『北酒場』でした。そしてボサノヴァっぽいギター伴奏は男性のオレターさんこと、オーレ・スコラワット・マトペンが担当しています。ほか、木琴やボンゴのリズムも聴こえ、手作り感満載のアレンジで、今まで聴いたことのないような『北酒場』に仕上がっていましたね。

もちろん、原曲は、あの男性演歌歌手、細川たかし、1982年の大ヒットで曲ですね。
それにしても、なぜ、熱帯の国、タイで『北酒場』?という疑問もあるかと思いますが、日本発祥でアジアでも親しまれるようになったカラオケ文化を通じて、日本の歌謡曲がけっこう歌われるということもあるだそうですね。
特に『北酒場』は、日本のオートバイ・メーカーが、タイで放映したコマーシャル・ソングに採用されて、その軽快で明るい演歌調において、人気の高い曲だそーです。

ところで、リンさんが可愛らしい声で多重録音のコーラスも聞かせながら、ボサノヴァっぽいギターの伴奏にスキャットを交え終わっていく、細川オリジナルとは趣が違うそのエンディング、オリジナル北酒場とはカケ離れた印象もイイ味出していると思います。

ちなみに、今聴いていただいた『北酒場』収録の、リン&オレター2020年のアルバムには、ほかにも日本の曲が満載、タイでも人気だったという仮面ライダーや、みなしごハッチ、タイガーマスクのテーマ・ソングなんかも収録されていたり、ちあきなおみの『喝采』やゴールデンハーフの『ちょっと待って下さい』とかも歌っている、実に昭和な雰囲気のカヴァー・アルバムなんですね。ジャケット写真から見みるところ、二人は40代後半ぐらいでしょうか?もしかしたら、もう、ちょっと、歳の行ってる二人かも知れません。

それでは、もう1曲、リン&オレターの歌とギターで『すばる』。

 

こちらは、1980年のヒット曲、皆さんご存知、谷村新司の『 昴 』でした。
とはいえ、正直なところ、私はこの曲、実際に日本でヒットしていた頃は聴いたことがなかったと思います。
ちょうど、今を去ること40年以上前の1980年代頃、自分の場合、米国のブルースやR&Bを経由して、ラテン音楽やアフリカ音楽、あるいはアジアやアラブの音楽を聴き始めていた頃、まあ、マニアぶっている男でしたから、当時は歌謡曲はやニューミュージックとか聴くこともは稀、この『 昴 』も、国内でヒットしていた当時、聴いたことはありませんでした。が、後年、日本を含めアジア全域で人気のあった台湾出身の女性歌手、今は亡きテレサ・テンがカヴァーし、歌っているのを聴いて、ふ〜ん、なかなかイイ曲だなあと思ったものです。
なんでも、先の大戦以降、中国メインランドにおいて最初にコンサートをした日本人アーティストは、この谷村新司が率いたアリスだったそうで、中華圏の人々の間では、今もってその人気は高く親しまれているとのこと(残念ながら、この秋、亡くなってしまったのですが)。
もちろん、タイはじめ東南アジアにも中国系の人々は多く住んでいるので、こんなカヴァー曲が生まれたのかも知れませんね?

ピアノのみの伴奏から、空を仰ぎ見るようなメロディーの歌いだし、ギターも加わった軽快な2ビートに乗せ、可愛らしい、というか、ちょっとアマチュアっぽい、つたなさも感じさせるリンさんの歌声が、オリジナルとは異なる魅力を伝えていました。

というわけで、親しみやすい手作り感覚とか、その気安いオープンな雰囲気が魅力でしょうね。鼻歌交じりにいっしょに歌ってもOK、その辺、谷村新司オリジナルとは、また違う魅力として聞こえます。

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