V.A. / 『宮古西原古謡集』

kubotasan2☆VARIOUS ARTISTS – feat. MAGOTARO NAGATA & NISHIBE ALL STARS
PRODUCED & RECORDED by HATSUO OKUHARA in 1974 – MASTERD by MAKOTO KUBOTA 2009 / NISUMURA – TRADITIONAL SONGS FROM NISHIHARA, MIYAKO ISLAND
長田孫太郎 / 池間ヨシ / 泊美歌子 / 高良ハツ / 石嶺シゲ / 本村ヒロコ / 長田ハツエ / 崎山カニメガ / 前泊美歌子
久保田麻琴さんが惚れ込んだ宮古の離島~池間島、そして宮古島の西原における1970年代の奇跡の発掘音源!
1974年に西原の村立100周年記念として、奥原初雄氏と村一番の唄者、長田孫太郎氏により録音制作された2枚のLPから編集&リマスターされた復刻盤ということで、『池間古謡集』と同様、こちらも超レアーですが、久保田さんが出会わなかったら復刻されることはなかったんじゃないかと、そんな気がします。やっぱり昨今の“沖縄民謡”の美意識のあり方からすれば、どこかハズレた雰囲気が濃く感じられます。
宮古というところは人口6万の島なのに、同じ島に住まいながら互いの方言が通じないこともある、ということですから、どれだけフォークロアが豊富なのか察しがつきますね。そんな宮古の空気感が濃密に宿った野趣満載の歌唱と演奏が楽しめるわけです。男声、女声とも、まず節まわし、そして発声が違います。ゆったりとしたシャーマニックなムードもあるアカペラ風の曲にしても、三線、太鼓、囃子のはずむリズミカルな民謡にしても、男声はラフ&タフながら、女声はそれなりに繊細さを見せながら、独特の浮遊感ある歌を聞かせてくれます。神さまや神話の歌、情愛や情景の歌、祈りや祝いの歌、自らを鼓舞する歌、弔いや出産の歌、コミカルに人をはやす歌、などなど、それぞれの歌がそれぞれの表情で西原に住んで在ることを歌っているんでしょう…。深いですよ、伝統といって形や規則があるものではなく、何と言いますか、歌声やリズムが響くその空気それ自体が伝統につながっていくような、ゆるくて深いものが感じられます。

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