TYPICAL COMBO‎ / LA FUREUR DU TYPICAL COMBO

ティピカル・コンボ、1970年から90年までに、20数枚のアルバムを残したグァドループの人気カダンス系グループですね。1968年にアルト・サックス奏者、アリィ・シモネーが、弟でテナー・サックス奏者のクリスチャン・シモネーとともに歌手ジョルジュ・プロンキットを擁し、結成しました。で、奇しくも今年(20年)6月、ついこの間のことですが、ティピカル・コンボのリーダーだった兄アリィは米国ペンシルヴァニア州の循環器系病院で亡くなってしまったそうです(ちなみに、ティピカル・コンボはカナダ、米国でも人気のあるバンドでした)。合掌…、
常時15人以上のメンバーを擁したビッグ・バンドでしたから、1990年を過ぎると、小編成シンセ・バンドでこと足りたズークに押されて、活動を停止、ということなんでしょうか?ま、詳しいことはよくわかりませんが、マルチニックのペルフェクタの好敵手として、“典型的伝統派コンボ(意訳)“というそのグループ名通り、正統派カダンス?とでも言えそうな手堅く、どこかグァドループのトラッド風味も感じさせるダンスバンドに徹した演奏が得難いものだっただけに、残念ですね。本盤は、1971〜84年の代表曲をセレクトしたベストとなります。

1 Ban Moin On Ti Femme 5:13
2 Stéphano 6:56
3 Deux Piéces 5:32
4 Madame A L’Hè Ki Lé 5:55
5 Mélanie 4:48
6 Makchiner 4:25
7 Pot-Pourri (Medoley) Typical  12:41
-1 Oulé Lélé Oué Lélé
-2 Ki Mac Ou Ni
-3 Mélanie
-4 Bobiner
-5 Deux Pièces
7-6 Bam Moin On Ti Fanm
8 Mouillé Moulillé 9:25
9 Si Tu Veux Pas Tant Pis 8:34
10 Laissez Moin Boué Rhum En Moin 6:56

<補足 カダンス>
“カダンス・ランパ” とは、ヌムール・ジャン・バティスト創始の”コンパ・ディレクト”に対抗するため、ライヴァル関係にあったウェベール・シコーが自らの音楽スタイルを名づけた言葉。基本、アコーディオン&サックス、そしてホーンズを前面に展開したコンパ・ディレクトと本質的には変わらないものの、セカンド・ドラムの導入により、安定したバス・ドラムと強調されるシンバル、ハイハットとカウベルが生み出すアップテンポなリズム感において、ウェベール・シコーはカダンス・ランパに名のもとに人気を得ます。
1970年代に入ると、コンパ、カダンス・ランパや、それに続くハイチの若手台頭を象徴する“ミニ・ジャズ・ムーブメント”の影響も流入、新たな音楽スタイル “カダンス” が(その多くが、Debs スタジオの制作において)グァドループを中心に流行、次々と新しいグループが世に出ました(Les Leopards, Selecta, La Perfecta, Les Aiglons, Les Vikings, Typical Combo,Les Gentlemen…)。ハイチ・スタイルを咀嚼した整理されたビートに、ビギンやマズルカなどのメロディーを援用しつつ、カダンスは、マルチニックやドミニカ島(ドミニカ共和国ではなく、英領ドミニカ島)も巻き込み、仏語圏カリブを席巻していきます。
並行して、ドミニカ島出身の音楽家達(Exile One, Grammaks…)が、グァドループを拠点に展開した “カダンス・リプソ” もカリブ圏内外で人気を呼びました。カダンス・リプソとは、カダンス・ランパとトリニダードのカリプソをミックスし生み出されたという70年以降のダンス音楽。カリブ海音楽として最初にシンセサイザーを導入、ソウル、ファンク、レゲエ等の要素も取り入れたその疾走感あるサウンドは(ソカの成立にも影響を与えたそうです)、カダンスと合流するかたちで、80年代のズーク大流行の伏線となりました。

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