THE IBRAHIM KHALIL SHIHAB QUINTET / SPRING


1.Spring 10:32
2.Before the Rain and After 03:33
3.Look Up 03:28
4.The Birds 10:11
5.You Don’t Know What Love Is 08:13

南アフリカのジャズには、今もってかえりみられることのなかった歴史的名盤が多く存在します。 そうした知られざる南ア・ジャズの歴史の中でも、ピアニスト、イブラヒム・カリール・シハーブ(=クリス・シルダー)の本作、1968年のデビュー作『スプリング』ほど不当な運命を辿ったアルバムは無いかも知れません。
『Spring』がレコーディングされたとき、シハーブはまだ 22歳でしたが、彼は既にしてケープタウンJAZZ シーンの要と呼ぶべき実力を持っていました。今となっては、このイブラヒム・カリール・シハーブの初録音こそ、作曲家、ピアノ・プレイヤーとしての豊かな才能を、余すことなく証明した最初の作であることに間違いないでしょう。 加えて、同68年のヒット・アルバム 『ヤハル・インコモ』で、注目される新進気鋭のサックス奏者、ウィンストン”マンクンク”ンゴジの参加も、本作の誉れを高めています。
1968年、3カ月にわたる南部アフリカでのツアーを通して、彼らのバンドとしての連携は磨き上げられ、わずか 2時間のスタジオ・セッションで本作は生まれました。 が、この “SPRING” は、たった一度だけ、少量プレスされたのみ、ほどなく音楽を解さないレコード会社の幹部がマスターテープを破棄してしまっため、以来、長きに渡り、忘れられた作品となります。 時は過ぎ 96年、マンクンク『ヤハル・インコモ』の復刻CD にボーナス・トラックとして”SPRING”は収録されました。四半世紀を過ぎ、やっと聴くことができるようになったわけですが、その他ならぬ “SPRING” の5曲を、南ア・ジャズ愛好家たちは、マンクンクの『ヤハル・インコモ』の一部であると勘違いし、疑いませんでした。
というわけで、こちら、オリジナルLPとしての初復刻盤 “SPRING” で、われわれ MATSULI レーベルは長きに渡る誤りを正します。 イブラヒム・カリール・シハーブのこの上なく見事なデビュー作が、本人の祝福を受け再プレスされ、半世紀近くを経て、正式なかたちで入手可能となったこと、そして、南ア以外の国々でも入手できるようになったのも初でしょう。 復元されたヴァルモント・レインのライナーノーツとともに、傑作『スプリング』の、ありのままの姿に接することが可能になったわけです。(メーカーインフォ意訳)

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