当時46歳、ということですから、こちらも円熟していますねえ…。北米イラン系女性歌手ではグーグーシュは別格として、最も人気実力を備えた女性歌手、シャキーラの2009年12月の今のところ最近作です。もともとテヘランではペルシャ古典声楽を学び歌っていたというシャキーラですから、渡米後も大方のUSイラニアン・フィメールがイケイケ打ち込み路線を行く中でも孤立し、ラテン歌謡やバラードに親和性を奏でる曲想において、古典声楽の素養を活かした格調あるロマンティック路線を歩んで来ました。そして自らプロデュースを務めたこの新作、豪華なイラン風オーケストラを率いながら、その、決してリキむことのない透明で柔らかなコブシまわしを存分に活かしつつ、昨年6月のイラン総選挙における市民デモや暴動へのエレジーを歌い上げた曲や、アルメニアンFOLKメドレー、そして古典曲をモダーンな手法で歌ったナンバーなどが並び、これまでの彼女のPOPアルバムとはひと味違う意欲作となっています。オススメできます。