ユッスーに続いて、サリフの新作ですよ!多くの曲が一昨年の来日時の録音だそうですが、京都の宿泊したホテルの部屋で、一人ギター弾き語りで録音したベース・トラックをもとに作り上げた新作、だそうです。
1. Aboubakrin
2. Awa
3. Tassi
4. Kante Manfila
5. Cherie
6. Soundiata
7. Laban
8. Tu Vas me Manquer
9. Proud
以下、当方担当NHKラジオの小コーナーで、
本盤から1曲紹介させてもらった際の、台本元原稿に酔って加筆したものです。
「マリのサリフ・ケイタ復活、7年ぶりのアルバム」
サリフ・ケイタは1949年生まれですから、今年、76歳になります。
西アフリカはマリの、古い王家の血筋を受け継いでいる人ですね、
けれど、アルビノとして生まれたことで、周囲から疎まれることも多く、
いっそ、大好きだった音楽の道を志そうと18歳で家出、寝る場所もなく、
人けのないところで寝っ転がり、大きな声で歌っていたら、
偶然、通りかかった音楽関係者に声をかけられ、それで、
歌手になったという話もあるそうです。
そしてサリフは、1970年代、当時マリで一番人気のあった
レイル・バンドの看板歌手となります。
その後、独立し自分のバンドを結成するも、80年代後半にはバンドを解散し、
87年にソロ・アルバムを出しました。アルバム・タイトルはずばり『ソロ』〜
この作が、当時、世界的にブームを呼んでいた、
“ワールド・ミュージック” の波に乗り、世界的な大ヒット作となり、
以降、アフリカを代表する歌手の一人として活躍し続けました。
残念ながら、2018年のアルバムを最後に引退状態だったんですけど、
が、今年になって、7年ぶりに新作アルバムが届きました。
それでは、サリフ・ケイタの新作から、
曲名は「シェリィ」を今日はご紹介します。
お聴き下さい。
>https://www.youtube.com/watch?v=a79PQZz5Crc
実は一昨年、京都に招かれて来日し、サリフ・ケイタのライヴがあったんですけど、
その時、泊まったホテルの部屋で、1人でギター弾き語りで録った音源を
ベースにこのアルバムは制作されたそうです。
京都の公演、わたしは残念ながら行けませんでした。
マリの大きな瓢箪を胴にしたハープ型弦楽器、コラの演奏者と、
木をくり抜いたボディに、ヤギの皮を張ったリュート型弦楽器、ンゴニの演奏者、
そして、ギターを弾き語るサリフ、という3人でステージに立ったということですが、
そんなステージを再現するようにして、サリフのギター弾き語りベース・トラックに、
後日、コラとンゴニの演奏を足し、この新作アルバム『ソ・コノ』はリリースされたそうです。
お聴きいただいていた曲
「シェリィ」
〜こんなことを歌ってました。
愛しい人よ、わたしを欺くのはやめてくれ
あなたなしでは生きられない
でも、嘘をつかないでくれ
もう願いが叶うこともないし、わたしの喜びは終わる
本当のことを言ってくれ、愛しい人よ
わたし自身のことより
あなたの愛情がわたしを苦しめる
わたしの喜びは終わったけれど、 ああ、愛しい人よ、
争うつもりはないんだ、そして、あなたのことばかり考えている
悩ましく、あなたのことばかり
〜以上、意味が取りにくいのは当方の訳がおぼつかないからですが、
“シェリィ”というのは、フランス語で “愛しいひと” といった意味でしょうね、
昔の恋人でも懐かしみながら、作った歌なんだろうな?とも、思いましたが、
否、過ぎし日のこととはいえ、今もって、身の裡の恋に悩ましく想いをかき立てられる
サリフ・ケイタなんじゃないか、とも思います。そういう歌声です。
ハープみたいなコラの弦の調べと、
アコースティック・ギターのフィンガー・ピッキングと、
ンゴニのサビのある弦の音が、
サリフの枯れた味わいの歌声とバランス良く交わって、
全体に、ララバイというか、子守唄というか、問わず語りというか、
そんな調子の曲がゆったりと流れて続く、淡々とした作となりました。
昔は時折、あたりの空気を引き裂いちゃうんじゃないか、ってくらい、
高音域で伸びる強靭な歌声を聞かせたサリフ・ケイタでしたが、
ま、75歳の新作ですからね、当然です。
サリフの歌を折々に聴きつないで来て、いつの間にやら、
思えば遠くに来たものだと、遠い目をしているご同輩も多いことでしょう…。