>こちらUNIKOでもリイシューされていたアルバム、オリジナルは自らのレーベル Duarte 録音 / Kubaney がディストリビュートした TATA RAMOS 名義 のLP “TEQUEMAS” でしょうね(本盤はEPジャケ?)。が、なぜかUNIKO盤では1曲カットされ11曲の収録だったのに対し、本盤は12曲すべて収録のオリジナル復刻です(が、例によって曲順変更、なぜそんなことするのか、さっぱり意味不明ですが)。
1922年生まれのキューバ人ピアニスト / 作曲・編曲家(コンフント・ナイアガラ、オルケスタ・コンチネンタルほかを経て)、そして楽団リーダーとして活躍したエルネスト・ドゥアルテですが、キューバ音楽史の中では、ベニー・モレーが歌った名曲「コモ・フエ」の作者として有名でしょう。そのベニー・モレーをバックアップしたエルネストの1952/53年の「コモ・フエ」含む一連のRCA ビクトル・シングル吹き込みは、ベニー・モレーのペレス・プラード時代に続く名演として、RCAカムデンからアルバム化されているので、皆さんもお馴染みでしょう。けれど、その後、モレーが自らの楽団、バンダ・ヒガンテを結成するにあたって手本としたビッグバンドこそ、エルネスト・ドゥアルテその人の楽団だったことは、意外と知られていないんじゃないでしょうか?
というのも、エルネストは1961年にキューバを離れマドリッドへ移住(その後、ラジオ局やキャバレーの専属楽団を率いたそう)、ややもって不遇のうちにフェイドアウトしてしまった観のある音楽家だったので(遺作は1974年のDuher / Spain RCA ファニート・マルケスとのキューバンFUNK!)、キューバ音楽正史から、ややもってハジかれてしまっている実力派、というのが当方の見解です。その証しにこのキューバ録音最後の作品、1959年にハバナにおいて、自から設立していたスタジオで録音されたドゥアルテ/クバネイ盤(カチャーオ参加)収録の “Sabor de Guapachá” 〜キューバにおけるマンボ不在感?の間隙を突く、ダンサブルこの上なしのグァパチャ・ナンバー、この1曲をして、エルネスト・ドゥアルテの才の幅は推し量れようというもの。伸びのある自然な発声に独特のセンチミエントが滲む黒人歌手、タタ・ラモスの歌も得難いものがあります。
モレーはじめ、セリア・クルースやセレステ・メンドーサ、フェルナンド・アルバレス、ローランド・ラセリエ、そしてこのタタ・ラモスやロロ・マルティネス、ぺぺ・レジェスといった歌い手の伴奏に徹した職人肌才人?のモダン派エルエネスト・ドゥアルテ、マドリになんか(?)移住しなければなあ、と、今更のように思います(享年66歳、於けるスペイン)。
01 Dame un Chance
Songwriter: E. Rosell
02 Fiesta en el Cielo
Songwriter: A. Echevarría
03 Nunca, Nunca, Nunca
Songwriter: Tata Nacho
04 Sabor de Guapachá
Songwriter: Ernesto Duarte
05 Un Viejo Amor
Songwriter: A. E. Otero
06 Ya No Me Quieres
Songwriter: María Grever
07 Cuando Vuelvas
Songwriter: Agustín Lara
08 Ausencia
Songwriter: Jaime Prats
09 Aquella Tarde
Songwriter: Ernesto Lecuona
10 No Digas Mentiras
Songwriter: O. De La Rosa
11 Ojos Verdes
Songwriter: León, Quiroga
12 Te Quema
Songwriter: Ernesto Duarte