NATALIA LAFOURCADE / DE TODAS LAS FLORES

ナタリア・ラフォルカデ、
←2022年作2LPsで入荷しました!
とうとう、こんな値段になってしまいました…
メキシコ盤です。

先の5年間、MUSAS Vol.1 (2017) & 2 (2018) から UN CANTO POR MEXICO Vol.1 (2020) & 2 (2021) と、中南米各地のフォークロアから、ボレーロ、カンシオーンやランチェーラといったラテン〜キューバ〜メキシコの歌謡世界を遍歴するがごとく、様々に豪華なゲストを招き共演した企画アルバム風の4作が続きましたが、この連作でナタリアはラテン世界の先達をゲストとして招き、ともに往年の名曲を歌い綴っていました。あるいは、彼女自身のオリジナル曲をトラディショナルな感覚も交えセルフ・カヴァー、自分の歌の成り立ちやルーツを確認しているような姿も見せてくれました。そうした連作のヒットを通して、きっと、大きな自信を得たことと思います。

そして、実に久しぶり、7年ぶりに自身のオリジナル新曲を中心に歌っているこの新作、(そのクリップ群で見せる表情にしても)なんと屈託のないこと…。ま、基本シンガーソングライターですから、このひとの身上として、上手く聞かせようとするでもなし、パッションで勝負するタイプでもないし、歌で虚構を演じるタイプでもなし…、やっぱり自分で作ったスペイン語曲を、衒いなく歌う姿が一番似合って当然という気がします。
その意味では、ナタリアに似合うのは、トローバっぽい弾き語りや、涼しげなランチェーラとか、微妙にフォーキーなR&Bタッチ、ゆるいモントゥーノとかボレーロ・チャチャもOK、そして、ボサノーヴァもよく似合ってると思います。ポツンと独り物語るようなモノトーンの歌もイイ感じだなあと、これまでの諸作を見渡して、そんな風に思っています(で、モノトーンといえば、そのアルバム・ジャケットも、曲ごとのクリップもみんなモノトーンだったりセピアだったり、そこもイイですよね)。で、実際、この新作は、そうした曲がみんな勢揃いしているアルバムなんじゃないかと、聞こえて来ます。

とにかくナタリアのヴォーカルを活かす抑えの効いた生音アレンジがイイですねえ…(それはつまり、マーク・リボー!ほか、生き生きとしたライブ感も聞かせる参加ミュージシャンたちの演奏を配置していく手際が素晴らしい、ということですが)、いかにもナタリアの持ち味を前に出すプロデュースがナイスな本作かと。となると、ナタリアと共同プロデュースをつとめる男、アダン・ホドロフスキーという男も気になって来るわけですが、クリップにも登場するザッパをナヨっとさせたような背の高い男、こいつは一体誰だ?ということに…。
で、ホドロフスキーといえば、映画『エル・トポ』とかの監督にして作曲家、チリ生まれのアレハンドロ・ホドロフスキーを思い出すわけですが、アダン・ホドロフスキーはその息子だそう、メキシコとフランスを行き来するギタリストでシンガー、ソロ・アルバムも6枚出している43歳だということです。父と同じく映画関係の仕事もあるそう(寡聞にして知らなかった人なんですが)。ふ〜ん、本作の制作にどんな手腕を発揮したかは知りませんが、結果として、音楽的才豊かな、和気を持って現場をサバくのもウマイ男なんでしょう、きっと。そう想像するしかありません…

というわけで、アダン・ホドロフスキーはともかくとして、とりあえず本作、ナタリアの歌が描く、繊細で、リラックスした時間に身を委ねることができる、素晴らしいアルバムになっていると思いますよ。

P.S. にしても、この石膏さらし首男の顔を品定めするような下着姿ナタリアのジャケ写、いったい何を意味するのか?謎ですね(長野の I さん曰く、さしずめ、サロメ?)。にしても、よりによってドルが一番高い時に、オーダーしてしてしまったこと、悔やまれます…、

A-side
1 Vine Sola
2 De Todas Las Flores
3 Pasan los Dias
B-side
1 Llevame Viento
2 El Lugar Correcto
3 Pajarito Colibri
C-side
1 Maria la Curandera
2 Caminar Bonito
3 Mi Manera de Querer
D-side
1 Muerte
2 Canta la Arena
3 Que Te Vaya Bonito Nicolas

 

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