20世紀後半以降は、ほとんど都市に定住することなってしまったアラビア半島〜アラビア砂漠の遊牧の民、ベドウィン人、その風俗は今もってアラブの人々の郷愁を誘うようです。ベドウィン風の装いをし、ベドウィン民謡やダブケを歌い、前世紀後半、ダマスクスでの人気を足がかりにアラブ全国区のスター女性歌手となったのはサミラ・タウフィックでしたが、彼女自身はベイルート生まれ、シリア系のレバノン人だったということです。で、そのベドウィン風の装いをまとい、サミラ・タウフィックを彷彿とさせる張りのある歌声で、ベドウィンっぽいリズム感のシリア / レバノン風ダブケ〜ウェディング・ソングを歌って、ロターナから登場したのがこのナハワ嬢、そのエキゾティックな容姿もあいまって、早くもサミラの再来という呼び声も上がっているようです。そして、このナハワもやはりレバノン出身だそう。エフェクトの効いたヴァイオリンや、エレキ・サズの旋律が飛び交う中、重く刻まれる各種打楽器&打ち込みビートに乗って、しなやかなメリスマをふるうナハワ、その歌声、なかなかの実力と見ました。もちろん昔ながらのダブケ、ということではなくて、シャバービー風の味付けも随所に見ることができるわけですが、ハリージーの次はベドウィン&ダブケだ!というルーツ回帰 / アラブ歌謡多様化路線も垣間見せる意欲作、ということになります。でも、それがマジ、ロターナの仕掛けだとしたら、結構やるじゃないですかロターナ!?