イスタンブール新市街の裏通りを歩いていると、ある建物の入り口にサズを弾くオヤジのポスターが貼られていた。民謡酒場のアーシュクか? 一緒にいたババズーラのムラットに聞くと「彼はサズを弾きながら同時にドラムやパーカッションを鳴らすんだ。是非見に行ったほうがイイ」と言われ、メーデーで街が荒れる中、民謡酒場で見てきました。一言演奏が凄すぎ!サズを弾いているうちに自分の中で気持ちが高まって太鼓やバスドラムを叩いてしまうその姿!その場でCDRを30枚買い取ることにしました(それが本盤です)。
演奏後に話しかけると、普段は音楽大学の教授をしながら、毎週民謡酒場に出演しているとのこと。更に、一台に4つのネックを持つサズ「TA」を独自開発し、この7月には楽器の開発のため日本に呼ばれているようです。自称「サズのジミ・ヘンドリックス」とも言ってました。
CDRでは破天荒な演奏は控えめ、サズとカヴァルやネイなど最小限の楽器を従え、少々しわがれた声で、自作のトゥルクをたっぷり20曲も弾き語っています。素朴な歌い口とシャープなサズの対比がいかにもアーシュクらしいですね。