ま、ないものねだりと言われてしまえばそれまでですが、何より、モダーンなタンゴの少々面白くない面というか、ものたりない感じの由縁、それは上品なこと…。ブエノスアイレスという港町の娼館や酒場でヤクザな連中が生み出したとされるタンゴですが、近年のタンゴのどこを聞いてみても、そんなヤクザな雰囲気は伝わって来ません。が、このメリンゴという男性歌手、かなりイナセですね。元ロッカーだったということですが、思い切り胡散臭い。声質はイタリアのパオロ・コンテ?もしくはトム・ウェイツみたいですが、原点回帰?開祖カルロス・ガルデルみたいなギター・タンゴをヤサぐれた感覚で聞かせてくれます。いつしか、インストゥルメンタリストの感性&テクニック競争?の場みたいになってしまったタンゴ界に、風穴を開けて欲しいものです。タンゴの成立に影響があったとされる19世紀後半のブエノス周辺に広がるパンパ(草原地帯)で盛んだったパジャドール(吟遊詩人)たちのミロンガ・スタイルにこだわった作、でもあるとのこと、1998年から2003年までの録音からセレクトされたベストCDだそうです。
加えて、このレーベルのCD、変形のダブル紙ジャケが凝りまくった飛び出す絵本?みたいになっているところも魅力的、CDジャケ・マニア?にも、ついでにオススメしてみたいところですが、いかがなものでしょうか。
ついでにこのアルバムの元となったアルゼンチン盤も紹介しましょう。こちらはいくつかの曲が変更になり、飛びだす絵本ジャケではありません。値段は2150円とお安くなっております。〜こちら在庫ございます。