見逃していました…、去年の作ですね、近年は主にドイツ系のジャズ音楽家達と共演、ミクスチュアーや即興を交じえながら、どちらといえば、フリーフォームなインストゥルメンタリストといった印象だったモロッコのゲンブリ&ギター奏者にして歌い手、マジッド・ベッカス 66歳の新作となります。
が、この作では、初心に帰ったのか?低音弦ゲンブリの演奏が野趣溢れるブルースっぽいグナワを紡ぎ出し、砂漠のブルースやマンデ・ブルースにも負けじと、モロッカン、アラビックかつブルージーなテイスト満載のアルバムとなりました。様々な試みの中から、やっぱりオレはコレだな、と、仕切り直しするような作とも聞こえて、個人的には、今まで聴いた中でも印象深かった>こちら、04年作の延長線上にある作でしょうか?あるいは、聴いたことはありませんけど、前からずっと気になっていた〜向かって右ジャケのカセット・アルバム、自己名義の初作と思しき01年モロッコ録音アルバム、タイトルは “Gnaoua Blues 2002” 〜というわけで、初心に帰った作なのかも知れませんね…
ともあれ、その歌声、張りのあるメリスマが伸び上がり、低音ゲンブリの地を這うようなウネリを金属カスタネット、カルカベのセワしない変拍子が追い立てて行く、まさしくグナワなブルースと聞こえ、時に、アル・アンダルース風味漂う生ギター弾き語りのフォーキー・ブルースも聞こえれば、ジョン・リー・フッカーばり?深みある唸り節に、枯れた擦弦がブルース・ハープよろしくまとわりつく曲、爪弾かれるコラの弦とフルベの笛に乾いたウードが交わるマンデっぽいミディアム・ナンバー、などなど…、いかにもグナウィらしい靭やかな歌声、張りのあるメリスマにグンブリ or ギターの自在な演奏を交え、この人なりのブルースを、破綻のない押し出しで聞かせたアルバムかと。すべての曲で、異なるアイデアを試しているようなところも聞きモノです。
1 Ahia Mhanti
2 Ana Majdoub
3 Moroccan Blues
4 Desert Swing
5 Sahara Tnadi
6 Imta Ya Mama
7 Zagora Palms
8 Allal
9 Mabrate Tessfa
10 Aferdou Dance
11 Barma Sousangdi