L’ORCHESTRE SIDI YASSA DE KAYES

☆オーケストル・ジジ・ヤッサ・ドゥ・カイ
L'orchestre-Sidi-Yassa-De-KayesSuper Biton National de Ségou(=2on1CD), >Mystère Jazz de Tombouctou, >Kanaga de Mopti に続く、社会主義マリの国営レーベル “KUNKAN” 録音 / >ル・ケネ・スタール・ドゥ・シカソ&ロルケストル・シディ・ヤッサ・ドゥ・カイの作がリマスター済みで初復刻されました!マリの地方色豊かなローカルPOPバンドのアルバムをリリースすることにおいて、絶後の内容の高さを誇るレアーな “クンカン” のアナログは、まさにマリ音楽マニアにとって垂涎のコレクターズ・アイテムだったようですが(すべて1977年に録音された、たった11アイテムのカタログ〜80年代に2作追加制作〜しかも当時、限定プレスでのリリースということで、あまりにも流通がなく、たぶんその頃の日本には1枚も入荷していなかったハズ)、長生きはするものです。こうしてCDで手軽に聴けるようになったのですから…。
このロルケストル・シディ・ヤッサ・ドゥ・カイは、その名の通り、セネガル、ギニア、モーリタニアと国境を接したマリの南西端カイ州のバンド。その中心、カイの街は山に囲まれた多湿地であることからアフリカ大陸でも最も暑い土地だそうですが(最高気温46°C!)、住まうのはソニンケ、カソンケ、マリンケ、フラニの人々ということで、人口比はわからないものの、ま、いろいろな人々が住んでいるようです。
で、本盤の内容、細部はともかく、基本的には最大公約数的なマンデ系ギター・バンドと聞こえます。ジャケットから推して女子が歌っているのかと勘違いしますが、女声は聞こえず、男声によるコール&レスポンスの歌が中心。70年代初めころから、マリ国内でも最もモダンなスタイルを確立していたとされていますが、乾いたギターの交差する中、フルートやサックスが洒落たフレーズを聞かせる一方、あまり他のマリ音楽に聞けないドコドコとした太鼓アンサンブルが鳴ったりもして、その辺、カイの土地柄から来ているんでしょうか?なかなか迫力あり。で、もっとびっくりしたのが、イイ歌手だなあ、グリオっぽいなあ、と思って聴いていた曲のソロ男声、ジャン・ビタールなる歌い手が、レバノン系のオリジンを持つ人だったことで、ま、マリ音楽と一口に言っても、わかんないことだらけだなあと一頻りですが、かえって面白いじゃないですか、ねえ。隣国ギニアのシュペール・ボワロあたりを彷彿とさせる、切れ味のいいギター満載、前傾マンデ・ビート曲もありマス!(邦訳解説付)

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