KHANA RUNGSIMAN / KHUN CHANG KHUN PHAEN

おそらく70年代初め頃のモーラム録音かと思います。謡い語られるのはタイ中部のスパンブリー地方で、18世紀頃に成立したとされる民話(恋愛説話・散文詩)〜醜男、でも心優しい金持のクンチャーンと、貧乏だけどハンサムで勇敢な武将クンペーンが、幼なじみの美女ワントーンをめぐってアレコレ確執するという、ま、三角関係の話だそう(当時の風俗習慣をよく伝える物語だということ)。で、それはともかく、カーナ・ランシマン楽団擁する謡い手たち、男性歌手と女性歌手(名前もわからない…)が、まず素晴らしく(プラスもう一人の男声、物語の役どころを会話風に応酬、演じています)、コレはやっぱりイサーン録音なんでしょうねえ、謡う言葉の意味なんてわからなくても積み重ねられる強力なメリスマにズンズン引き込まれます(逆に意味がわかったら、その言葉の意味にひきずられて、節まわしの素晴らしさがダイレクトに伝わらないかも?)。加えて、ケーン&打楽器群&ギター類弦楽器ストロークによるシンプルかつワイルドな伴奏がコレまた素晴らしく(以前、ツイッター上で西部講堂の村八分のよーだ、などというようなタイヘン乱暴な形容をしちゃいましたが…)、実に得難い!飾らず土臭くも優雅、民謡的なしなやかさに満ちた謡い語りと伴奏、こーゆーライヴ一発録り風長編モーラム2CD、しかもラムクローン(ケーンのみの伴奏)ではなく各種楽器使いで楽しめる70年代録音、なかなかありそーでなかった逸品かと!お見逃しなく!

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