ピアソラ以来と呼ばれるアルゼンチン・タンゴの革命児、ディエゴ・スキッシのクインテートに在籍し、コンテンポラリー・タンゴのかたちを探求してきたコントラバス奏者フアン・パブロ・ナバーロが三作目となるリーダー作を発表。
コントラバスのためのタンゴを追求した1stは様々な楽器とのデュオ編成、セクステートとなった2nd「Tangos de la posverdad」ではガルデルからチャーリー・ガルシア、ドビュッシーにまで幅を広げて公演、徐々に編成を増やし今回はセプテート。ライヴ・ヴェニューでもあるウシナ・デル・アルテの企画立案を受けて、20世紀タンゴ界のショパンと謳われ貴族女性を虜にしたフアン・カルロス・コビアンのトリビュート・コンサートを行い、それをパッケージングしたのが本作。”El Motivo”や”Nostalgias”といったコビアン定番曲もセバスティアン・トッソーラのb.cl、ビセベルサでも活動するグレコ兄弟のひとり – エミリアーノ・グレコ(p)らのインプロヴァイズした演奏、そしてフアン・パブロのオーケストレーションの妙で、かなり現代的にリノベイトされています。特にコンテンポラリー・ジャズの雰囲気を醸し出すのが、エステバン・ファラベジャ(eg)のジャズ・ギターが際立つm-3″La Castita de Mis Viejos”や、ドラム奏者セルヒオ・ベルディネッリが弦楽アンサンブルに呼応するようにビブラフォンをプレイするm-5″Mi Búnker / Mi Refugio”ではタンゴのフォーマットからまったく新たな音を紡ぐことに成功しています。明るさを携えたm-6″Rubí”ではニコラス・エンリッヒのバンドネオンとフアン・パブロのベースがデュオ編成で魅せ、女性シンガー、ノエリア・モンカダをフィーチャーしたm-4″Almita Herida”では多弦フレットレス・ベースをプレイ、m-7″Niebias del Riachuelo”とm-9″Los Mareados”には、アルゼンチン・ロックのレジェンド、フィト・パエスが特別ゲストで参加。