ここ数年のこと、70年代半ばに旧ユーゴで封切られたインド映画のユーゴ版吹き替え主題歌として世に出て以降、さまざままなかたちで歌われて来た”Ramo Ramo”という曲が気になってしまい、いろいろ探し回っているうちに巡り合ったCDの一つがこちら。
トルコに住まうマケドニア系移民(帰還移民)を両親とする、イズミール育ちの女性歌手、ハッヴァ・カラカシュ(リリース当時56歳のヴェテラン)の2017年作ですが、 “Ramo Ramo”ほかバルカン・ブラス曲やロマの音楽性はもとより、いかにもマケドニアらしい歌謡が混在する魅力的な曲の並びを楽しめるアルバムです。ほか、ハルク・マナーのサズ伴奏曲なども挟まれて、飽かせませんね!
閑話休題。が、それにしても”Ramo Ramo”…、なぜ?旧ユーゴでインド映画の需要があったのか?よくわかんないなあ、と思っていたら、社会主義国家成立後も、“国民” として認知されていなかったロマの人々が、市民権を得ようとする運動し始めたのが1970年前後、そんな中、北インドをルーツとするロマ達のディアスポラ意識がインド映画を求め、自分たちの音楽にインド的なメロディーを取り入れることもあったらしいと知り、なるほどなあ、と。
結局、1974年にロマの人々は市民権を得ることになりましたが、まさにその年、ユーゴで封切られたインド映画が “RAMO RAMO”、そしてこの映画の吹き替え主題歌が “Ramo Ramo” 、クロアチアのロマ男性歌手、スロボダン・イリックが歌ったこの曲は、またたく間にバルカン全域で流れ、旧ユーゴ発ロマ歌謡として、最も有名な曲の一つとなったそうです。
で、その”Ramo Ramo”を、旧ユーゴ / マケドニア系トルコ帰還移民の出自を持つハッヴァ・カラカシュが歌っても、なんの違和感もない世界観がトルコにあるということ(このハッヴァ以外にもトルコで”Ramo Ramo”を唄っている歌手は枚挙に暇なし)。その辺、ワレワレには伺い知れないオスマン・トルコ以来のバルカン〜東地中海〜トルコ的世界観のあり方の一端に触れるような気がするのですが、いかがなものでしょうか(って、自分でも、何言ってるのか、あんまり良くわかっていませんが)?
あるいは、もしかしたら、ハッヴァ・カラカシュは、もともとトルコ系ロマの血筋なのでしょうか?全然わかりません。が、ただし見た目はロマという感じではなくて、スラブ系ですよね。でも、まあ、トルコ系マケドニア人であると、トルコではそういうことになっているよーです。というか、言語や信仰が “人種” を決めるバルカン〜東地中海〜トルコ的世界、血筋なんてどーでもイイ話なのかも知れませんが…。
と、そうしたこともともかくとして、”Ramo Ramo” 改めて、イイ曲ですなあ!
1. Şeriban
2. Ramo
3. Tütüne Mi Gidersin
4. Kan Bana
5. Göçmen Kızı
6. Doldurdum Mangali
7. Şefo
8. Kara Üzüm Salkımı
9. Yağmur Yağar
10. Gülo
11. Kara Yusuf
12. Gel Seninle Kaçalım
13. Anne Yaşım Onyedi
14. Küp İçinde Nişasta
15. Kıvrım Baston
16. Hokka Hokka1. Şeriban
*全く問題のない中古盤で在庫あります。¥2000
▽ヒンディー映画吹き替え版”Ramo Ramo”歌っているのはスロボダン・イリック!
▽スロボダン・イリック〜シングル盤在庫あり¥1800〜ご興味ある方はお問い合わせを!
▽セルビア盤CD取り扱いあり>★
▽ジャンダン・エルチェティンの、同じくトルコPASAJ盤の09年作CDより>★
▽未CD化、DL可能〜ハッヴァ・カラカシュと同じくマケドニア系ターキッシュ?
▽ギリシャ版発見!>★