ハスナ・タハール / ウントゥク・カワン

hasnah-tahar絶好調!お蔵出し!?POLKA DOT DISC 第三弾はハスナ・タハール!1950〜70年代に活躍した人気オルケス・ムラユ、O.M. ブキット・シングンタンの看板歌手だったハスナ・タハールのコレクションです。〜中でも彼女の全盛期、1950− early 60’s のSP&10inchLP音源をコンパイルしたCDRとなります。(素敵なジャケは10インチLPから)!ハスナは1933年シンガポールで、インドネシア系の両親のもとに生まれたそうですが、48年には家族とともにスマトラへ帰郷、そして地元のサンディワラ劇団(インドネシアの大衆ヴォードヴィル)に参加し、50年にジャカルタへ巡業したことをきかっけに、ジャカルタに住まうことになります。で、その後、このブキット・シングタン・ムラユ楽団に参加することになるわけですね。
で、もともと、ちょっと頼りないよーな発声をする女性歌手なんで、好みは分かれるのかも知れませんが(サローマあたりと較べればの話ですが)、その辺、ムラユ風味のスマトラ女性歌謡と解すれば、ちょっと違う聴き方もできるんじゃないかと。…概して当時のスマトラ出身歌手はどこか練り切れていない、素朴な歌い口にとどまっている感じの人が多いよーに思いますが、そこんのところ、後年インド・プレイバックの影響を色濃くして “ダンドゥット” のOMへと発展してから以降にはもうありえない、プレ・ダンドゥット以前のムラユ音楽の成果として、逆に、東南海風の50年代田園歌謡情緒をダイレクトに伝えてくれて得がたい!という判断も可能なわけですよね。その辺のニュアンスを感得していただける向きならば、このハスナ・タハール、何とも麗しいじゃないですか(というか、もともと女優さんですから、こういう情緒先行?の歌い口もまたしかり)!大歌手とは申しませんが、その充実度、当時として最高峰のOMブキット・シングンタンの哀愁味あふれる達者な演奏に乗せ、決して饒舌にならない素直で飾らぬ歌声を聞かせてくれ、わけもわからぬうちに一瞬で、何とも懐かしい気持が湧き出づる泉状態を味あわせてくれますよ。オススメするに決まっています。

 

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