ハディ・サリア、またの名をハディ・アハメッド、初入荷です。久々のスーダン音頭です(ヌビア系トラッド色も感じられます)。で、あの、スーダン音頭の帝王、ムハンマド・ワルディの従兄弟さんだそうです。スーダン北部のヌビア人が住まう小さな村で生まれ、アスワンハイ・ダムに沈んだその村から父の出稼ぎ先、エジプトへ移住。そして父の死後、兄とともにスーダンへ移り住み、早くから親しんだ各種楽器の腕を活かして、ウード&フルート奏者としてワルディの楽団に参加したそうです。その後ソングライターとして独立、1990年代には、ヌビア人としての音楽も追求し、国外でも数々のフェスに参加、演奏活動を展開しました。そんな中で北米へ移住、現在はUSヴァージニアに拠点を置き、北米のヌビア〜スーダン人コミュニティを中心に活動しているそうです。
というわけで、この2011年の米国録音、その歌のあり方は従兄弟のワルディにもつながりますが、あの、さすらいのヌビア人音楽家、故ハムザ・エル・ディーンにもつながって行くような、繊細さも兼ね備えた歌い口。ヌビアのリズム感やメロディーを活かしつつ、スーダン音頭のグルーヴも感じさせる独自の境地を聞かせています。加えて、エチオピア系の竪琴クラールの多用や、ヴァイオリンとフルートのコンビネーションを活かすアレンジなど、地味ながらも新鮮な音感を生み出していて、飽かせない演奏です。オススメできます。