GLYKERIA, ANDREAS KATSIYIANNIS / ME ANASTENAGMO

今年68歳、未だ現役の喉を保つギリシャ女性、グリケリア2021年末の新作、入荷が遅くなりました、スミマセン!
(今年の3月初めに21年末にリリースされていたことに気づいてオーダーしたのですが、今月5月になっても全然入荷しないので、取引先に、まだ着きませんが、やっぱりウクライナ情勢の影響なんですか?と打診したところ、アッ!送るの忘れていた〜、との回答。あっそう…じゃ、送って下さいと返信。何というか、流石ですな、ま、特に問題ナシです)…
ところで、グリケリア、早くからキプロスで人気を得ていたので彼の島出身と勘違いしたこともありますが、その両親は小アジアからの帰還者、グリケリア自身はマケドニア地方生まれということです。
で、本作は1974年のキプロス南北分断による悲劇を、実際に当時の強制移住を体験した作詞家、マリア・ハジアクセディの詞を、グリケリアが歌い綴った作となります(ジャケ写、中央の少女がハジアクセディその人、ジャケ写前面のハジアクセディの祖父母は、アナトリアのスミルナの大火で家を失い焼け出され、ギリシャへ強制送還されて後、キプロスへ移り住んだそうですが、キプロスでもまたトルコ系住民に家屋を焼かれ、その人生で2回、焼き出され、難民生活を送ることになったそうです)。作曲は、近年ひっぱりだこ、前世紀前半の小アジアはスミルナ=イズミールのギリシャ音楽を作曲の材とし活躍して来た、エストゥディアンティーナ・ネオス・イオニアス率いるアンドレアス・カツィヤニスということになります。
そんな布陣で、キプロス南北分断をテーマに、史実に沿いながら歴史的な不幸をテーマに歌い綴ったグリケリアの新作、当然のこと、いかにも懐旧的傾向の強いギリシャ歌謡本道に則った作と言うべきでしょうか(もちろん、その歌が描く悲劇は、あくまでギリシャ側の視線が捉えた史実に準じたもの、ということにもなりますが…)。
ゲストには、2曲で歌うヤニス・コツィラス、うち1曲は、フォーキーな曲想ながら、力を抜いたグリケリアとのデュオが、次第に盛り上がりを見せる曲で、リキミのない二人の歌が大きく弧を描くような、アルバム自体の重いテーマに一服の清涼を盛るような曲です。

ほか、他の曲の並びでも、ハバネラ、ワルツ、レベーティカ、そしてスミルネイカ等々、淡々と哀感ある節まわしを重ねる導入から、次第にエモーショナルな広がりを感じさせるカツィヤニス・マナーの曲想を、些少カスレた声ながら、見事に歌い切るグリケリア、年長現役実力派最高峰の一人?現在のギリシャを代表するヴェテラン女性歌手と納得することは可能でしょう。


1 Yannis Kotsiras, Glykeria – Ένα Αθώο Ψέμα 3:50
2 Glykeria – Είδα Το Αϊβαλί 3:41
3 Glykeria – Άμα Τη Βρεις Την Ανθρωπιά 3:56
4 Yannis Kotsiras – Σαν Πεθαίνει Η Ψυχή 4:26
5 Glykeria – Ζω Μ’ Αναστεναγμό 4:24
6 Glykeria – Θάλασσα Δώσε Του Ζωή 3:53
7 Glykeria – Η Τέφρα Του Καφέ 3:27
8 Glykeria – Της Νύχτας Πέπλο 4:03
9 Andreas Katsigiannis, Glykeria – Αλχημιστής 4:12


 

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