★フランツ・カッスゥ/ハイチのダンス
>ロリータ・クエヴァスのフォークウェイズ10インチLPのバックでギターを弾いていたのがこのフランツ・カッスゥ(1915 – 1993)、このCDRは同じくフォークウェイズから1954年にリリースされた自作曲をソロで演奏した10インチLPの復刻ですね。このカッスゥという人、ハイチ生まれながら、成人してからは主に米国で過ごしたようで、あのマーク・リボーのギターの先生だったそう。後年、マーク・リボーはカッスゥ師のオリジナル作品をギター演奏のための楽譜集として出版したりもしています。ともあれ、ハイチ近代史の中で没落したクレオール家庭出身であり西欧的音楽的教養の持ち主だったフランツ・カッスゥの屈託が、ハイチに伝わるクレオール的メロディーの美しさに慰撫されているようなその演奏(?)、聴き応えありますね!
1. Suite No. 1: Petro
2. Suite No. 1: Yanvalloux
3. Suite No. 1: Mascaron
4. Suite No. 1: Coumbite
5. Etude
6. Romance
7. Lullaby
8. Sobo
〜・〜・〜以下 SAMBINHA インフォより
マーク・リボーやレイラ・マッカーラの傑作カヴァーでもお馴染み
ハイチ出身の名ギタリストが奏でる、至上の美が横溢したソロ・ギターの世界
ハイチの首都ポルトープランス出身の名ギタリスト/作曲家:フランツ・カッスゥ(1915-93)。ハイチ系アメリカ人人気SSW:レイラ・マッカーラが2022年にリリースしたアルバム『BREAKING THE THERMOMETER』において、カッスゥの名曲「Nan Fon Bwa」を取り上げたことでも、その存在が一時再注目されました。米国の名門レーベル:スミソニアン・フォークウェイズは、そんなカソーズの希少なレコーディング音源を擁しています。
貧困をはじめとする多くの障害に阻まれつつも、ジャズ、クラシック音楽の勉学に勤しみ、独学でギターを習得したカッスゥは、人気ピアニスト:ファッツ・ウォーラーに会いたいという理由から、1940年代半ばに渡米。以降アメリカを拠点に活動することとなった彼は、自身の故郷であるハイチの民俗音楽と西洋クラシック音楽の要素を融合した独自のギター・スタイルを確立させていきました。そして1953~69年にかけ、フォークウェイズで3枚のアルバムをレコーディング。またソロ・アーティストとしての活動のみならず、「バナナ・ボート」でもお馴染みの大人気歌手:ハリー・ベラフォンテ(1927-2023)とも頻繁に共演。1957年、ベラフォンテはカッスゥ作曲のナンバー「Merci Bon Dieu」を取り上げ、素晴らしい名唱を残しています。またカッスゥは、のちに実験音楽/フリー・ジャズのフィールドで活躍し、トム・ウェイツなどとの共演でも知られることとなったギタリスト:若き日のマーク・リボー(1954- )のギター指導者であったことも有名。リボーはカッスゥ作品を演奏したソロ・ギター・アルバムのリリース、楽譜の出版など、カソーズ再評価に大きく貢献しています。
そんなカッスゥが渡米後最初に吹き込んだのが、1953年リリース作品『へイシャン・フォーク・ソングズ』でした。カッスゥによる美しくきめ細やかなギター・アレンジ/演奏と、プエルト・リコ出身/ハイチで育った女性歌手:ロリータ・クエバスの端正な歌声が溶けあった同作品では、ハイチの古い子守唄などをはじめとしたクレオール・ソングの数々を収録。ハイチ音楽の〈隠れた名盤〉として、長きにわたり愛され続けています。
そして今回ご紹介する『ハイチのダンス』は、『へイシャン・フォーク・ソングズ』に続き、1954年にフォークウェイズよりリリース。こちらは現行で入手可能な、非常に貴重で数少ないカッスゥの〈ソロ・ギター作品〉となっています。①~④は大作「ハイチ組曲」。懐かしさや切なさを感じさせるような、ハイチ特有の温かみある穏やかな旋律、そして知性とエレガンスを感じさせる西洋クラッシックのタッチが溶けあった同作品は、まさに彼史上最高傑作であると言えます。この他、エチュードや子守唄など、どこを切り取っても非常に優しく、切なく、そして美しすぎる全8曲を収録。ワールド・ミュージック・ファンの方のみならず、美しい音楽を愛する全ての方に是非聴いていただきたい一枚です。(サンビーニャ・インフォより)
MELISSA LAVEAUX / DYING IS A WAILD NIGHT
TI KABZY / ELEKTRO KONPA
V.A. / A GUIDE TO HAITIAN MUSIC -ハイチ音楽入門
DJAKOUT #1 / LOD NAN DEZOD