1 Black Dog 5:21
2 Heartbreaker (At The End Of Lonely Street) 4:46
3 Living Loving Maid 3:45
4 Your Time Is Gonna Come 5:09
5 Bring It On Home 4:34
6 Whole Lotta Love 4:34
7 Black Mountain Side 2:01
8 I Can’t Quit You Baby 6:02
9 Immigrant Song 2:53
10 Moby Dick
Backing Vocals: Michael Jordonaires, The Dreadettes
Porn Bass: Put-Mon
Congas, Percussion, Vocals : Ed Zeppelin
Drums : Cheese, Fresh Cheese
Engineer : Rasta Li-Mon
Guitar, Guitar, More Guitars: Carl Jah
Guitar, Keyboards : Jah Paul Jo
Lead Vocals : Tortelvis
Producer : Jah Paul Jo, Rasta Li-Mon
本物のアホですな、が、アホはアホとして、一筋縄じゃないですねえ…。
カナダのドレッド・ツェッペリン、1990年のデビュー作、その後、2011年までに17作のアルバムを残し、現在もライヴ活動中だそうです。
って、本作しか聴いたことがないので、ほか16作については語る資格はありませんが、でも、わかります。皆まで言うな、という感じです。
…なんというのか、ロックンロールが歩んだ、プレスリーからレッド・ツェッペリンに至る道程を、ドレッドかつダビィな意匠も交え、一夜のお笑いモノマネ大会へと貶める、その傍若無人な無意味には、感じ入るものがあります。
失笑と哄笑、そしておそらく、抗議と脅迫も招きつつ、太り過ぎ、飾り過ぎ、カツラ過ぎのなんちゃってプレスリーを大真面目に演じるところの、その歌いっぷり、しかり。サイコにしか見えないパンツ&マントのリード・ギター演じる、ヘタウマ高学生マナーのジミー・ペイジ・ギターのハズしっぷり、しかり。朴訥というか、力量不足を誇示するようなベースとドラムス&コンガが醸し出す、レゲエ、ダブ、時にナイヤビンギもどきの、モッサリと、とっ散らかった投げやりなビート、しかり。そんなこんなが一体となって演じるこのプレスリーとツェッペリンのパロディ狂宴が意味するものは?
何のために、こんな面白いことをやっているのか?ま、謎ですが…。
でも、大まかに感じられることとして、こんなバンドやっても特に女にモテないという大前提において、一貫してプレスリーとツェッペリン、ついでに少々ラスタのパロディもヒタムキに演じるその確信犯ぶりが見据えているものは、結局、「ハートブレイク・ホテル」から「移民の歌」にまで貫かれて来た、ロックンロール、そしてロックという音楽の流れ、そのジャンルとしての不文律、あまたの歴代ロック・スターが築き上げ、それぞれに磨きをかけて来たロックのカッコよさ、クールさ、モテまくる、という絶対神話への意義申し立て、もしくは神話の解体、という偉業だったのかも知れません、って、本気で言ったらバカですが。あるいは、単にモテる男へのやっかみに過ぎない、という見方もあるかも知れませんが。
でも、面白いものは好きだから許す、というか支持したい、という常識的なスタンスからすれば、本作がリリースされた90年代初頭、既に「ロックは魂の叫びだ!」といったキャッチフレーズに微塵も心を動かされなくなっていた者の一人として、リリース時に、本作に出会えなかったことを、なんだか、悔やんでいるのも事実です。
加えて、時にプレスリー憑依現象深奥化あり、ジミー・ペイジ瞬間憑依もあり、パロディを超え、やりたいことをやってるだけ、という別件的カッコよさが滲み出す場面があるのも事実です(②とか)。
そして、このクソ忙しい中(期限切れ寸前の仕事山積み寝不足モードで)、なんで、こんな、1枚しか在庫のない千円の中古盤に、コツコツ長めの文章を書いているのか、ワレながらアホだと、考えているのも事実です。