マリのマンデ・ギターの名高いヴァーチュオーゾふたり、故ブバ・サッコと、ジェリマディ・トゥンカラに師事して来たバブカール・ジャバテ、グリオ家系のジャバテ一族に生まれ、今年48歳だそうです。
>こちらで紹介されていたCDですね(陳謝&感謝)!なんとか少し、再入荷しました。
で、1曲目 “L’amour” を聞いて、期待に違わぬ素晴らしさだったんですが、以前、こんなギター・フレーズを聞いたことがあるなあ、と記憶を辿れば、南アフリカの白人ギタリスト、>デレク・グリッパーが、マリはマンデのコラ奏者達の演奏をコツコツと譜面に落とし、誰に頼まれたわけでもなくコラのフレーズをギター演奏に移し替え、深夜ひとりで録音したというCDのことを思い出しました。なるほど、そうかこの曲、バブカール・ジャバテもコラのフレーズをギターで再現しているんだな、と気づきましたが、そうしたことは、もう一度読み返してみた AFTER YOU にキッチリ書かかれているのでした。
加えて、コラだけでなくンゴニの演奏もコピーしてるそうで( “Bagounou”)、やっぱり、ギターという楽器はけっこうマルチなんだなあ、と再認識した次第。コラやンゴニでギターを真似ることは難しいと思いますが、ギターという楽器は色んなことが1本で完結出来る楽器かも、もしかしたら、聞き手も必要としないような状態を生み出してしまう楽器なのかもなあ??と、遠い昔、クソ下手なりに、時を忘れてギターを弾いていた頃のことを思い出したりもしたんですが、ま、それというのも、本CDのジャケット写真、カメラに向かってギターを弾くバブカールの両の眼差しには、何も映っていないような気がして、そうだ、コレは今まさにギターの中に入ってしまっている男の眼なんだ、と、そんな風に思ってしまったのだから仕方ない…、と、相変わらずの思い込み、もとい錯覚?及び意味不明をお詫びします。
が、そういうことはともかく、収録11曲中、6弦ギターのソロ演奏は初めの2曲とラスト1曲だけ、ほかの8曲では、バブカールはギターを12弦に持ち替え、6弦のセカンド・ギターが描く反復フレイズの中、そのフィンガー・ピッキング奏法の指と爪で、マンデらしいメロディを湛えながらも縦横自在なフレイズを細やかに、時に素早い指使いで、アドリブのようにも、交わる弦が輪唱を奏でているようにも聞こえるギター・デュオを繰り広げているのでした。
ちなみに、収録曲はすべて伝承曲をもとに演じられているそうですが、まったく、トラッドの中から生まれる闊達さ、自由というものを教えてくれる演奏かも知れません。
1 L’amour 5:56
2 Diyana Mogo 4:51
3 Sakonke 5:19
4 Bayini 7:05
5 Kedo 4:43
6 Fadent 3:42
7 Douga 7:42
8 Miri 3:12
9 Korosa 4:42
10 Sene 8:15
11 Bagounou 4:46