ALUNE WADE / NEW AFRICAN ORLEANS

『ニュー “アフリカン” オリンズ』なんて、紛らわしいような、意味深いようなタイトルがつけられた、セネガル出身のベーシスト、アルネ・ワデ新作、既に、リーダー・アルバムは6作目になるそう。
前作は>こちら、当店顧客の皆さんの間でも、かなりの評判を得ましたが、そのキャリアとの関連を探るならば、やはり、フランスで活躍したアジズ・サハマウイ率いるグループ、UNIVERSITY OF GNAWA のレギュラー・ベーシストとして活躍していた蓄積が実った作だったかと思われ、マグレブやアラブ、エチオ音楽へのアプローチのあり方が魅力だったかも知れません。

で、今作は、そのワデが、その表題通り、アフリカとニューオーリンズ音楽をフュージョンさせるという野心作、なんでしょうか? 録音はパリ、ダカール、そしてレゴス、ニューオリンズで多勢のミュージシャンが参加し録音された作だそう。
たぶん、ですが、今作の聴きどころを醸しているのは、ジョー・サンプルやボビー・ファクファーリン、マーカス・ミラー、そして、ユッスー・ンドゥールからロクア・カンザ、ウム・サンガレやファトゥマタ・ジャワラのバックを務めたという万能スタジオ・ミュージシャン&アレンジャーとしての才が生かされた作、という風に説明したいところ。でも、もしかしたら、何だか、けっこうハードコアな試みをしているのかも?とか、ゆるゆるのセッションに終始しているだけじゃないのか?と、聞こえもする、なかなか、とらえどころの無い作になっています。ある意味、ちょっと音落として、ややグルーヴィーな BGM にでもしてみたら、イイ感じ、なのかも知れません。

冒頭曲「ナイト・トリッパー」もちろんドクター・ジョンのあの曲です。ま、微妙にミスティック、スローな変拍子ファンク?みたいなインスト、2曲目は「ブギー&ジュジュ」、語るようなワデの歌、そして、途中スキャットも聴かせ、軽快スウィンギーにも聞こえないこともない曲。で、グリグリ・ガンボ・ヤヤ、とか、ヴォードゥー・チャイルドとか、カヴァーなのかな?と想わせながらも即興的だったり、セカンド・ライン風であるけれど、微妙にダンスを誘わない複合ビートに乗せ、多勢の管を従えつつ、フュージョン・マナー横溢するセッションを展開…という感じ?
ほか、ジュジュ風あり、ンバラ風あり、アフロビート風あり、涼しげ女性ヴォーカルをフィーチュアーしたメロウ・ファンクとか、ウォーター・メロンマンのカヴァーとか、「タクシー・ドライバー」という曲名だから、ボビー・ベンソン?それとも、映画のアレ?かと思ったら、全然違かったりする曲、等々…どこかしら、予想がつかない曲想、計算されているのかも知れないユルさとか、が、聴いているうちに、ジワジワとぬるま湯感覚で気持ちイイ、ような気がしたり…、

ま、手っ取り早く言えば、ニューオーリンズ・ガンボ風のゴッタ煮感覚をアフリカ出自の私が、自分のキャリアに沿って演ってみた、だけなんですけど、何か?みたいなアルバム、なのかも…(それにしては豪華な録音)?
当方としては、よくわからないんですが、そのよくわからない感じに惹かれるということはあります。
とりあえず、試聴してみてください。

1.Night Tripper 04:13
2.Boogie and Juju 05:08
3.Gris-Gris Gumbo Ya Ya 05:11
4.Voodoo Child 04:55
5.Water No Get Enemy 05:05
6.From Congo to Square 05:40
7.Taxi Driver 04:03
8.Same Fufu 05:49
9.Three Baobabs 06:57
10.Watermelon Man 03:20
11.Dialect from the Mulattozy Tribe 04:03

Yehmi Olutosin : Baritone Saxophone
Victor Ademofe : Trumpet
Camille Passeri : Trumpet
Olaore Muyiwa Ayandeji : Talking Drum
Alune Wade : Vocals, Bass, Keyboards
Cédric Duchemann : Keyboards
Alix Goffic : Drums
Harry Ahonlonsou : Tenor Saxophone
Camille Passeri : Trumpet
Victor Ademofe : Trumpet
Yehmi Olutosin : Baritone Saxophone, Trombone
Kirk Joseph : Sousaphone
Alix Goffic : Drums
Kyle A. Roussel : Piano, Organ
Hugues Mayot : Bass Clarinet
Weedie Braimah : Percussions
Julia Sarr : Backing Vocals
Olyza Zamati : Backing Vocals

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