ALUNE WADE / SULTAN

意外というか、変わってる、というか、こーゆー男がセネガルから現われるとは思いませんでした(深沢センセー、オススメの1枚、MM誌 2022年間 BEST 10ワールド・ミュージック部門7位)!マグレブやアラブ、エチオ音楽へのアプローチを聞かせるベーシストの作品です。

1978 年セネガル生まれ、父がセネガル軍楽隊の指揮者だったので、幼くして楽器を与えられ、6歳の頃からギターを弾き、若くしてピアノ、ベースも習得、18 歳でイスマエル・ロー・バンドのベーシストとなったそう。そこを皮切りに、北米、そしてフランスへ渡り、ジョー・ザヴィヌル、マーカス・ミラー、ボビー・マクファーリン、ウム・サンガレ、ユッスー・ンドゥール、ロクア・カンザ、ブリク・ワッシー、ファトゥマタ・ジャワラ、そしてあのアジューザ!等の元でベースを弾いて来たそうです。
が、とりわけ、近年、私達に親しみあるのは>アジズ・サハマウイ&グナーワ大学のレギュラー・ベーシスト&ヴォーカルとして活躍して来たことでしょうね。本盤はアルーヌ・ワデの5作目だそうですが、なるほど、本作も、マグレブ音楽へのアプローチを特徴としたグナーワ大学の音楽性とリンクするところ、大かも知れません。
が、それに加えて、近年、ワデ自身の旅行体験によるエチオピアやエジプト、東アフリカ音楽への傾倒、あるいは以前、北米で音楽活動をしていた頃に出遭ったアラブ〜アフリカ系のディアスポラであるところの楽家達との交流を通じ吸収したミクスチュアー感覚、そうしたものの成果として本作が実ったことに違いはないでしょう。
なるほど、聴き応えある作です。自身もおそらくセネガル系のムスリムなんでしょうが、マグレブ〜アラブ、北東アフリカの音楽性を、ブラック・アフリカの出自を持ったインストゥルメンタリストとして(セッション・マンとして活躍して来た熟練、ジャズやフュージョンブ、ラジリアンやラテン等々の手法も活かし)、溶かし合わせて歌い上げた作品、とでも言えるでしょうか。グナーワのビートやアラブ的音階、そしてエチオ・グルーヴ、あるいはンバラ、そうした音楽の片鱗が、そこかしこに浮かび上がる万華鏡のような作!

1.Saba’s Journey 05:28
2.Donso 06:36
3.Sultan 05:38
4.Nasty Sand 04:18
5.Uthopic 04:37
6.Portrait De Maure 04:26
7.Djolof Blues 05:39
8.Dalaka 05:12
9.L’ombre De L’ame 06:01
10.Lullaby for Sultan 04:14
11.Celebration 04:27
12.Café Oran 04:45

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