フィーリン・ムードのギターで聞く、キューバ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、スペイン、フランス、U.S.A.の名曲の数々。
キューバの街を歩いていると、そこら中から音楽が聞こえてきます。ホテルやレストラン、バーやカフェには、必ずと言っていいほど生演奏がつきもので、ソンやボレロなどのキューバ音楽から欧米のポップスまで、演奏ジャンルも様々。
このアルバムのギタリスト、アルベルト・ロペス・パドロンは、キューバの首都ハバナで活動しているそんなミュージシャンたちの一人でした。詳しい経歴などは 分からないですが、2000年頃に制作されたキューバの大女性歌手エレーナ・ブルケの最後の録音を含むトリビュート・アルバム『エレーナ・ブルケに捧ぐ』のオープニングに彼の録音が取り上げられました(その録音は、今作にも収録、6曲目)。
本アルバムの録音は、その曲と同時期(やはり2000年頃)に録音されたもので、今回初めてCD発売されることになりました。
アルベルト・ロペス・パドロンのギターは、お聞きいただくように“フィーリン”の感覚が漂うとても自由なものです。“フィーリン”とは、1940年代に キューバで興ったモダーンな感覚を持った音楽ムーヴメントで、ジャズや映画音楽などの影響を受けながらも、自由な発想を伴った音楽です。ここ数年は、ホセ・アントニオ・メンデスやセサル・ポルティージョ・デ・ラ・ルスなどのフィーリンを代表するミュージシャンの録音が復刻され、ラテン音楽ファンのみなら ず、幅広い層に注目されています。
パドロンのかたちに囚われないギター奏法は、多分フィーリンからの影響が大きいのではないかと思います。もしかすると、フィーリンの歌手達の伴奏もしたことがあるのかもしれません。
選曲も多彩で幅広く、キューバの名曲を中心に、アルゼンチンのタンゴからメキシコのランチェーラ、ブラジルのサンバ、さらにスペインやフランス、 U.S.A.の有名曲まで取り上げています。また、それらをメドレー形式で聞かせるのも大きな特徴で、次から次へとつなげてしまう能力も大したものです。 演奏の途中で思いついた曲を即興的に弾いているのではないか、と思えてしまうほどに自然で、全く違和感が感じられません。
どこか聞き覚えのある南を感じさせるメロディ・ラインに乗せて弾くギターは、ラテン音楽としてもラウンジ・ミュージックとしても極上のサウンドを響かせてくれています。
なお、ジャケットには、U.S.A.の写真家Ellen Silverman(エレン・シルバーマン)が、「Cuban kitchens」シリーズの中の1枚として撮った近年のアルベルト・ロペス・パドロンの写真を使用しました。
(以上メーカーインフォより)
曲目表:
01. El Bodeguero (Richard Egues)
エル・ボデゲーロ(リチャード・エグエス)
02. El Manicero (Moises Simons)
南京豆売り(モイセス・シモン)
03. Quiero hablar contigo (Carlos Puebla) ~ Contigo en la Distancia (Cesar Portillo de la Luz)
キエロ・アブラール・コンティーゴ(カルロス・プエブラ)~ 遠く離れていても一緒(セサル・ポルティージョ・デ・ラ・ルス)
04. El Bobo de la Yuca (Marco Perdomo) ~ Fefita (Jose Urfe) ~ La Batea (Tony Tano) ~ Aquarela do Brasil (Ary Barroso) ~ Tristeza (Haroldo Lobo – Niltinho)
エル・ボボ・デ・ラ・ユカ(マルコ・ペルドモ)~フェフィータ(ホセ・ウルフェ)~ラ・バテア(トニー・ ターニョ)~ブラジルの水彩画(アリ・バホーゾ)~トリステサ(アロルド・ロボ – ニウチーニョ)
05. C’est Si Bon (Henri Betti)
セ・シ・ボン(アンリ・ベッティ)
06. Tu, mi Delirio (Cesar Portillo de la Luz)
わが情熱のあなた(セサル・ポルティージョ・デ・ラ・ルス)
07. Decidete mi amor (Jose Antonio Mendez)
デシデテ・ミ・アモール(ホセ・アントニオ・メンデス)
08. Son de la Loma (Miguel Matamoros)
ソン・デ・ラ・ローマ(ミゲル・マタモロス)
09. Como (Chico Novarro) ~ Cuando vuelva a tu lado (Maria Grever)
コモ(チコ・ナバーロ)~クアンド・ブエルバ・ア・トゥ・ラド(マリア・グレベール)
10. Uno (Mariano Mores) ~ El Dia que me Quieras (Carlos Gardel) ~ Adios Muchachos (Julio Sanders) ~ As Time Goes by (Herman Hupfeld)
ウノ(マリアーノ・モレス)~想いの届く日(カルロス・ガルデル)~アディオス・ムチャーチョス(フリオ・サンデルス)~時の過ぎ行くままに(ハーマン・ハプフェルド)
11. Malaguena (Ernesto Lecuona) ~ Y viva Espana (Leo Caerts)
マラゲーニャ(エルネスト・レクオーナ)~イ・ビバ・エスパーニャ(レオ・カルツ)
12. El Rey (Jose Alfredo Jimenez)
王様(ホセ・アルフレード・ヒメネス)