VIVI VOUTSELA / KARDIOKLEFTRA


これまでも古いレベーティカを再現した企画録音オムニバスなどで歌っていたと思われますが、こちら、ヴィヴィ・ヴーツェラなる女性歌手のファースト・アルバムです(お歳はわかりませんが、ま、そう若くはないでしょうね、出身はギリシャでもクレタ島に次ぐ大きな島、と言ってもアテネのあるアッティカ半島の目と鼻の先の島、エヴィア島だそうですが、ほか経歴等残念ながら不明です)。
それにしても、やぁ〜、まあ、何というか、21世紀も20年を過ぎようというこの時代に、こーゆーアルバムがポツンと制作リリースされてしまうところがギリシャ歌謡の奥行き、というか、懐の深さというか、なんとも、流石と言うべきでしょうねえ、ホント。
で、ジャケの裏を返すと一曲ごとに年表記があって、それによると1928年からほとんどの曲が戦前、1940年までに発表されたSPの再現曲が10曲、そして1曲だけ1947年の戦後の曲が加わって全11曲、すべてが、スミルナ(イズミール)or コンスタンティノープル (イスタンブール)出身の(1923年のトルコ/ギリシャ住民交換による)帰還者であるところの作曲家、もしくは自作自演のレンベーティス達によるナンバーだそう。
プロデュースは15歳の時からヴァイオリン奏者としてキャリアを積んできた(ロンドンのロイヤル・アカデミーでも学んだそうですが、ライカやレベーティカ、すべてのレトロ・グリーク・ミュージックにも通じた)プロフェッサーと呼ばれるキリアコス・グヴェンタス。ほか、サントゥーリ、ブズーキ、ウード、ギター奏者参加による、極めてトラッドで流麗な伴奏は、トルコ発祥ならではの、オリエンタルな風合いを奏でるスミルナ派レベーティカの今日的な再現とでも言えそうです。
そんな中、ちょっとアレッティ・ケティメを連想せるような、透明で浮遊感のある端正な節まわしを聞かせてくれるヴィヴィ・ヴーツェラ、もちろん、それなりにキャリアを感じさながらも、その瑞々しい発声から判断して、30代半ばぐらい?って、女性の歳をあれこれ推測するのも無粋ですけど、なんだか、春爛漫の柔らかな空気感にぴったりな歌声じゃないでしょうか…。
いかにも、スミルナ(イズミール)、小アジアの港湾都市で、17世紀〜19世紀にかけてアルメニア商人はじめ、ギリシャ人、ユダヤ人、そしてトルコ人がともに共生し栄えた商業都市で生まれたスミルナ派ギリシャ音楽の揺籃、そこには人種や各種伝統音楽のクビキを超えた自由な混淆があったことも想像できて、そんな音楽性を今に聴くようなアルバム、とも。>★

▽アルバム録音メンバーでのライヴ、かと思われます。

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