V.A. / CHANTEURS DE RUE, Balades Phnompenhoises

★Phnom Penh singers, Street melodies
これは面白いですねえ、キクチ夫君がプノンペンの街角で見つけて来てくれたCDです。
本CDをリリースしている “Bonapha Center” は、プノンペンに設けられた視聴覚センター(非営利施設)で、クメールルージュのために破壊されたフィルムやTV映像、あらゆる録音物や写真、絵画等を修復復元し、公開している施設だということです。つまり、クメールルージュ以前の音楽や映像を再現することで、失われた過去を取り戻す一助とすることを目的にした施設ということになるんでしょう。
本盤は2004〜05年の録音(07年リリース)にて、復元されたものではないのですが、センター運営の資金とするために販売している商品で、クメールルージュ以前から面々と受け継がれた大道の音楽家達による物乞いの歌、トロー・チェー(胡弓)弾き語り、月琴弾き語りや縦笛クロイの演奏などをフィールド・レコーディング+スタジオ録音にて収録したCD〜とにかく音がイイですね!鶏の鳴き声や物売り、オートバイのモーター音や雑踏の音等々、各曲の出だしに配された道端のいろいろな環境音もムード満点。そして、それぞれにクセのある芸人達がイイ声で歌い語りワメキ? あるいはイイ音で各器楽インスト・プレイも聞かせてくれます。太鼓スコートゥーイのリズム感や、歌い手の辿るメロディーはもう、やっぱりカンボジアそのもの、私達が日頃親しんでいるクメールPOP群とそう変わらないというか(月琴弾き語りの語り口なんて、カンボジアンPOPのラップみたいなもの?)、ま、民謡的なものの基本形を聴けるというか、ある意味、トラッドでもなければPOPでもない、ストリート・ミュージシャン達ならではのカンボジア最大公約数的旋律、リズム、歌いまわしを聞かせてくれるアルバムなんじゃないでしょうか?格別保存されたりもせず、新たな展開を望む姿勢もなく、淡々とカンボジア音楽の基調音を聞かせてくれるパフォーマンスが並んでいると、そう感じます。