OLIVER ‘TUKU’ MTUKUDZI / EHEKA! NHAI YAHWE

2016年ジンバブウェのオリヴァー・ムトゥクジの65作目の新作だそう。おお、そんなにたくさん出ていたんですね…。自分はそのうち半分も聴いたことがありませんが、今年65歳ですから、65作目ということで、心に期すものがあったことでしょう。
日本では、つい10数年ぐらい前まで、ジンバブウェと言えばトーマス・マプフーモ、そのショナ人の伝統音楽をギター・バンド&親指ピアノにおいてPOP化した“チムレンガ・ミュージック”が、ずっとメインを張って来ましたが、歳こそ7つ上のマプフーモの音楽に対して、ムトゥクジは“トゥク・ミュージック”。マプフーモがショナ人の伝統に特化したPOPスタイルを作り上げたの対して、ムトゥクジはショナのみならず南部アフリカの音楽を(南アのンバカンガ等も)、さまざまに取り込み、よりポピュラリティーの高い“トゥク・ミュージック”を作り上げたのでした。チムレンガにせよトゥクにせよ、その、どちらの方がイイ、ということではありませんが、なにしろ故中村とうようさんはじめ、「ジンバブウェと言えばマプフーモ」というワールド・ミュージック・ファンの間の “常識” が邪魔をしたか、00年代に入るまでムトゥクジが大きく紹介されることもなく、65作目と言われてもピンと来ない自分のような者にとって、もっと早くから聞いていたらなあ、という悔悟がないワケではありません。それは、とうようさんも同様、在りし日のとうようさんはムトゥクジのCDを何枚か当方でお買い求めになり、「こんなにスゴイ人がいたなんて…」と、詠嘆調?で漏らされてもいました。そのうちの1枚、05年の “NHAVA” をMM誌の輸入盤紹介欄で絶賛されていたことも思い出します。
その後、じょじょにムトゥクジの音楽は日本にも浸透、2013年にはとうとう初来日も果たしてくれました(マプフーモ来日に遅れること22年!)。今や日本でも、「ジンバブウェと言えばムトゥクジ」とするファンの方々も大勢いるわけですよね。と、ココまでを枕に本作について、自分なりに、ご紹介してみよーと思ったのですが、枕が長くなり過ぎました&飲みすぎました。なので、詳しくは後刻…、というか、>こちらをお読みいただいた方が早いし、的確だし、無駄がない、ということにも(毎度、申し訳ないことです。感謝!)。
それにつけても本CD2曲目、南アの大ヴェテラン、ヒュー・マセケラの澄んだトランペットの音色に導かれ発せられるムトゥクジの一声一声、その深みあるシャガレ声、老いたライオンみたいな歌、その声音から伝わる諦観や哀しみや、あるいは逆に、活力や生命力みたいなものが静かに吹きつけて来るような、なんとも形容し難い余韻を引くハスキーな歌声、その一声を受けとめることができて…、ああ、音楽聴いて来てよかった、と思わせるものがあるわけですね、オリヴァー・ムトゥクジ。

1 Chori Ne Vamwe
2 Bhiza Ra Mambo (feat. Hugh Masekela)
3 Ndinecha (feat. Maduvha Madima)
4 Pa Bodzi
5 Kusateerera (feat. Hugh Masekela)
6 Dzikama Wakura
7 Masanga Bodo (feat. Daisy Mtukudzi)
8 Hunhapwa (feat. Joesph Chinouriri)
9 Tamba-Tamba Chidembo
10 Dzivirira
11 Hadzivake
12 Songs