THE NORWEGIAN RADIO ORCHESTRA with MARYAM SAID HADUM, MOHAMMED ISSA ‘MATONA’ HAJI & RAJAB SULEIMAN / SYMPHONIC TARAAB

SYMPHONIC-TARAAB1ターラブは、東アフリカ沿岸のスワヒリ文化に花開いた音楽。「ジャンボ」というあいさつの言葉でおなじみのスワヒリ語はインド洋を通したアラブ 圏とアフリカ東海岸との貿易によって生まれました。さらにそこにペルシャ語やインドの諸言語、またポルトガル語など交易を行なっている国・地域の言語の語 彙なども取り入れられ発展。そのようにいくつもの言語、ひいては文化が混じりあって生み出されたのが、このターラブという音楽というわけです。
その生まれ故郷は、現在のタンザニア沿岸に浮かぶ島ザンジバル。現在はタンザニアと連合共和国として強い自治権によって統治されていますが、か つては奴隷や香辛料、象牙などの貿易の一大拠点でした。そこの宮殿楽団として編成されたのがターラブのはじまりとされ、それがだんだんと民衆の間にも広 まってさらに豊かな混淆をくり返して1930年代には大衆音楽としてひとつの黄金時代を迎えます。戦後になるとますます多種の音楽を吸い込み独特の優雅な サウンドを育んできたのです。そしてさらにタンザニア本国にも伝播してアフロ色の強いサウンドや、先祖帰りしてアラブ色の強いもの、またダンスビートを取 り入れてポップ化するなどさまざまなスタイルが生まれてきているのです。
本作はそんな多様化するターラブの中でもかなり異色な1枚。なんとノルウェーのクラシック楽団が本場のターラブ音楽家3人を招いてターラブの名曲をパフォーマンス! もともとターラブ自体20や40といった人数で再現されるもので、いわばシンフォニックな要素があるので無茶な企画ではありませ ん。それでも完全な西洋のクラシック楽団だけにその迫力や流麗さはかなりのもの。ターラブの泥臭い優雅さにクラシックのカタルシスを加えたとでもいえばいいでしょうか。さらにモハメッド・アブドゥル・ワハーブなどの曲まで取り上げています。これはちょっと聴いたことのない新鮮さ。ターラブ・ファンはもちろ ん、クラシックや映画音楽ファンにまでアピールできそうなおもしさです!
(以上、メーカーインフォより)

元々ザンジバルのターラブにおける大編成の弦楽重奏は、前世紀の初め、エジプトはカイロで興った西洋のオーケストラのアラブ音楽への移入に影響されたところもあるでしょうから、ターラブの音楽家達がノルウェーの交響楽団と共演することは、全く突拍子もないことではないでしょう。そのオーケストラの移入を成し遂げたアブドゥル・ワッハーブの曲をここで演じているのは確信犯的と言えるかも知れません。意欲的な実験作、とは言えるでしょう。

SYMPHONIC-TARAAB21. Jipeleze
2. Muhogo Wa Yang’ombe
3. Aziza – Bashraf Subira
4. Nna Zama
5. Mandira
6. Subalkhere Mpenzi
7. Afkari
8. Ashairejea
9. Situr Wa Longa

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