西和美 / 島かなしゃ

奄美で郷土料理屋を営みながらシマ唄を歌い続けて来たヴェテラン女性歌手の新録です。鍛えられた低音域の発声に魅力を感じるし、強弱硬軟の歌い分けにも長けていて、シマ唄の伝統を守る姿勢が強く感じられます。実力派の脇役・前山真吾が三線と唄で、そして最長老のウタシャ森チエ(90歳)と名人・築地俊造が唄遊びに参加した話題作とのこと。

1. 朝花節Asabana-Bushi 3:30   2. くるだんど節 Kurudando-Bushi 3:26   3. よんかな節 Yonkana-Bushi 4:22   4. 長雲節 Nagakumo-Bushi 3:18   5. あんちゃんな節 Anchanna-Bushi 2:12   6. ヨイスラ節 Yoisura-Bushi 4:13   7. やちゃ坊節 Yachabou-Bushi 5:14   8. まんこい節 Mankoi-Bushi 2:40   9. かんつめ節 Kantsume-Bushi 3:29   10. 側家戸節 Subayado-Bushi 6:06   11. 城ながれ Gusuku Nagare 3:29   12. イェトゥ Yetwo 4:07   13. 渡しゃ Watasha 5:05   14. 別れ朝花(上がり節) Wakare Asabana(Agari-Bushi) 4:59   15. 朝花節 Asabana-Bushi 5:47   16. 糸繰り節 Itokuri-Bushi 3:55   17. 行きゅんにゃ加那 Ikyunnya Kana 5:19

以下、メーカーインフォより

■超実力派の脇役・前山真吾が三線と唄で、そして最長老のウタシャ森チエ(90歳)と名人・築地俊造が唄遊びに参加した話題作。
本アルバムで三線と囃し、そして時には西和美と掛け合いで唄を担当するのは若手で一番の実力を持つ前山真吾。2006年に『星降ル島ヌ唄』(JAB-36)でソロ・デビューして以降、その説得力のある発言と実行力で奄美における新世代のシマ唄シーンを牽引、今では奄美シマ唄界で欠くことのできない存在に成長しています。またレパートリーの多さ、歌詞のストックの多さも出色で「側家戸節」「城ながれ」「別れ朝花」(上がり節)などに於ける即興性と歌詞は前山真吾ならではのマナーが反映されています。
さらに本アルバムではボーナストラックとして「朝花節」「糸繰り節」「行きゅんにゃ加那」3曲の唄遊びを収録。ここでは今年90歳を迎えた最長老のウタシャ森チエと名人・築地俊造を迎えて、唄遊びならではの緩やかな世界を聞くことができます。
■豊かなボディを活かした重量級ヴォイス。
西和美は肉体的に骨太です。声域は女性としては低い方。その低い歌声が骨太な肉体に共鳴して重量感のあるヴォイスを生み出します。『島かなしゃ』の録音中に彼女が言った言葉。「肥ってないといい声が出ないのよ」。これはオペラ歌手に通じるものがあるかも。そしてよく練りこまれたシマ唄の数々。例えば「朝花節」は挨拶歌として、唄遊びの冒頭で必ず歌われます。これを1日1回歌うことで計算すると約30年のキャリアで10,950回。だが間近で見ていると1日に2、3回は歌っている。さらに唄遊びが興に乗ると「朝花節」だけで20分以上歌い続けている。他の曲でも、例えば「くるだんど節」「よんかな節」「糸繰り節」「イェトゥ(仕事唄)」などは、そのつどキーを替え歌詞を替えるなどしてお客さんの前で毎日のように歌い続けている。それだけ練りに練った唄が常日頃から身についている、という意味でシマ唄の歌い手としての存在は極めて大きいと思われます。
*アーティストについて
■奄美シマ唄といえば西和美。
奄美大島で郷土料理店「かずみ」を経営しながらシマ唄を歌い続け、島内外から絶大な支持を得ているウタシャ西和美が待望のアルバム『島かなしゃ』をリリースします。奄美市名瀬にある「かずみ」は“シマ唄が聞こえる店”として知られています。開店は1983年、それ以来、彼女は奄美の海の幸・山の幸を使った郷土料理を提供しながら毎日シマ唄を歌い続け、島内だけでなく、島を訪れる多くの人々の心を癒してきました。店を訪れる人々は野趣あふれる料理と黒糖焼酎に酔い、彼女の豊かで迫力に満ちた歌声を間近に聞いて奄美シマ唄の美しさを体感します。また「かずみ」は築地俊造やRIKKI(中野律紀)、中孝介ら数多くのウタシャが心の拠りどころとしている店としても知られています。西和美は彼らから“和美ネー”と呼ばれ慕われ続けています。西和美のファンは全国に及び、彼女のシマ唄を聞くために奄美大島にやってくる人も少なくありません。その中には作家、詩人、映画監督、歌手、タレントなど数多くの有名人も含まれています。もっとも本人は有名人諸氏には不案内で「元気で歌っておれればいい」というタイプ。自ら作る料理が自分でも美味しくて「体重計に乗るのがこわい」のが目下の悩みのタネだそうです。
■西 和美 Nishi Kazumi
奄美大島・瀬戸内町西古見出身。尼崎で暮らしていた昭和53年(1978)頃、奄美出身者による民謡保存会に誘われてシマ唄を歌い始める。昭和55年(1980)、奄美で開催された「奄美民謡大賞」大会(南海日々新聞主催)に初出場。翌年、奄美大島に戻り、名人・坪山豊を師と仰いで本格的にシマ唄を歌い始める。昭和58年(1983)、名瀬市(現・奄美市名瀬)で郷土料理店「かずみ」を開店。昭和59年(1984)、「奄美民謡大賞」大会で新人賞を受賞。昭和60年(1985)、同大会で最高賞の大賞を受賞して一躍注目を浴びた。翌年、スミソニアン博物館主催の「フォーク・ライブ・オブ・アメリカ」に出演。平成17年(2005)には異端の日本画家・田中一村の生涯を描いた映画「アダン」(五十嵐正監督)の挿入歌を歌って出演も果たした。自ら経営する郷土料理店「かずみ」は“シマ唄が聞こえる店”として多くの人々に愛され、ジャバラ・レコード時代の中孝介がシマ唄の腕を磨いたことでも知られている。
参加メンバー
■前山真吾 Maeyama Shingo
■築地俊造 Tsukiji Shunzou
■森チエ Mori Chie

参考~

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